中国の大学入試でAI導入 過熱する高考に対し、AIで不正対策

2025年6月7日、中国全土で一斉に大学入試「高考(ガオカオ)」が始まった。
志願者数は前年比並みの1335万人と過去最多水準に達し、AI技術を活用した不正防止策も強化されている。
高考で史上最多の受験生、AIを不正検知として活用
6月7日、中国全土で過去最多水準となる1335万人が受験する大学統一試験『高考』が開始された。中国では学歴が就職活動で重視されるため、高考は「人生を決める試験」とも言われており、競争が年々過熱している。
今回、カンニング対策として、AIが活用されている。
具体的には、山東省や江西省など複数の省の試験会場でAIが導入された。受験中の映像を解析することで不審な挙動を検知し、不正防止に繋げる仕組みだ。
また、スマートグラスなどのウエアラブル端末(※)の持ち込みを防ぐため、入念な検査が各地で実施された。
北京市内の中国人民大学付属中学周辺では、早朝から大勢の保護者が集まり、緊張感が一層高まっていたようだ。
ある40代の母親は「毎日遅くまで勉強したから準備は万全だ。成果を発揮できると信じている」と話し、我が子の努力を信じて送り出したという。
※ウエアラブル端末:体に装着して使用する電子機器。スマートグラスやスマートウォッチなどがあり、情報表示や通信機能を備えるものも多い。カンニング目的での利用が問題視されている。
AI導入による信頼性向上と過度な監視への懸念
AIによる不正監視は、高考の公平性を担保する手段として、一定の成果を期待できる。
今後、顔認証による本人確認や、音声解析による不正通信の監視といった機能の導入が行われれば、さらなる信頼性向上につながる可能性もある。
一方で、監視強化が行き過ぎることへの懸念も存在する。
AIによる常時監視が受験生の精神的な負担を増大させ、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性もある。また、都市部と地方との間で監視技術の導入に格差が生じれば、不公平感が拡大しかねない。
受験生の心理的ケアと技術配備を公平に両立させる運用体制が今後の課題となるだろう。
高考におけるAI監視技術が、今後どのような影響を及ぼすのか、成果と副作用の両面から、今後も注視していきたい。