ノートパソコンでもAIのロボ操作が可能になるか Hugging Face、新ロボティクスAI「SmolVLA」をリリース

現地時間2025年6月4日、アメリカのAI企業Hugging Faceは、ロボティクス向けの新たなAIモデル「SmolVLA」を公開したと発表した。
MacBookなどの一般的なハードウェアでも動作可能な軽量設計が特長で、ロボット開発の民主化と加速を目指すという。
MacBookでも動く軽量AIモデル「SmolVLA」が登場
Hugging Faceは、新たな視覚・言語・行動統合型モデル「SmolVLA(スモール・ブイエルエー)」をリリースした。
パラメータ(※)数は4億5000万と比較的小型でありながら、高精度なタスク実行能力を持つという。
本モデルは、同社のロボティクス特化コミュニティデータセット「LeRobot」のオープンデータを活用して訓練されており、仮想・現実空間の双方において、従来の大型モデルを上回る性能を示したとされる。
さらに、SmolVLAは単一のコンシューマーGPUやノートPCでも実行可能で、同社が開発・販売する安価なロボットプラットフォームにも容易に実装できる設計だ。
注目すべき機能として、視覚・音声認識と動作制御を非同期で処理する「非同期推論スタック」に対応しており、環境変化に即応する柔軟な行動が可能になるという。
すでに、X上ではSmolVLAをロボティックアームの操作に使ったという報告が上がるなど、ロボティクス界隈では注目を集めている。
※パラメータ:AIモデル内部で学習される変数の集合で、モデルの判断や出力に影響を与える要素。パラメータ数が多いほど一般に表現力が高いが、計算負荷も大きくなる。
小型化と低コスト化が進むロボット開発 業界に広がる民主化の波
Hugging Faceは、2024年にロボット特化のツール群「LeRobot」を発表し、2025年初頭には仏スタートアップPollen Roboticsを買収するなど、ロボティクス分野への本格参入を進めてきた。
小型かつ高性能なモデルをMacBookのような一般的な端末でも動作させられるという特性があることで、個人や小規模チームによるロボット開発を容易にし、幅広い応用を可能にする。
一方で、SmolVLAの登場は、オープンロボティクス市場における競争激化も予感させる。
NVIDIAやK-Scale Labs、Jeff Bezosが支援するPhysical Intelligenceなども、自律型ロボットの汎用化を視野に技術開発を進めており、オープンソース重視のHugging Faceがどれだけ対抗できるか注目が集まっている。
今後は、Hugging Faceが目指す「ロボティクスの民主化」がどのような形で産業界や教育分野に浸透していくかが注目される。
SmolVLAのオープンな設計思想が、新たな開発文化の礎となる可能性もあるだろう。