アマゾンがAI投資を加速　ノースカロライナ州に100億ドル投入しデータ基盤強化へ

2025年6月4日、米アマゾン・ドット・コムは、人工知能（AI）関連事業の拡大を目的に、ノースカロライナ州へ100億ドルを投資すると発表した。ロイター通信が報じている。
新規データセンターの整備により高度人材の雇用創出も見込まれており、米国内でのAIインフラ競争が一段と激化している。

アマゾン、米南部でAIデータ拠点を大規模整備へ

アマゾンは、ノースカロライナ州に新たなAI向けデータセンター群を建設・整備するため、総額100億ドルの投資を実施すると発表した。
このプロジェクトにより、エンジニアやネットワーク技術者など少なくとも500人の専門職雇用が創出される見通しだという。
既に同州では2万4,000人以上を雇用しており、小売り物流に加えてAI基盤構築という新たな柱を打ち出した形になる。

今回の決定の背景には、ChatGPTなどの生成AIの普及により計算リソースの需要が急拡大している現状がある。
アマゾンは2025年第1四半期だけで約250億ドルの設備投資を実施しており、同様の水準での支出を年内継続する方針も明らかにしている。

AI競争の加熱が招く恩恵と課題　地方経済に新たな期待も

今回の投資は、米国内で進行するAIインフラ戦争の一環と位置づけられる。
マイクロソフトやグーグルも同様の巨額投資を進めており、アマゾンとしても競争力を維持するために地域拠点の強化が不可欠となっている。

メリットとしては、地元経済への波及効果が大きい。高スキル職の誘致は税収増加や地元企業との連携を通じて経済の多様化を促進するだろう。
一方で、電力や水などインフラへの負荷増大や地域の地価高騰、電力需給バランスの問題はリスクとなる。

データセンターをめぐる競争は激化しているが、こうした投資合戦では、資本力をもつ巨大テック企業以外は市場優位を確保するのが難しいだろう。
AIにより多くのリソースを割けるようになるのはメリットだが、一方で、インフラ投資を行える大企業とそうでない企業との間に格差が生まれる可能性もある。