きらぼし銀行、AIで文書業務を刷新 クラウド編集「LAWGUE」導入でDX加速

AIスタートアップFRAIM(フレイム)は2025年6月3日、同社が提供するAI搭載型クラウドドキュメントワークスペース「LAWGUE(ローグ)」を、きらぼし銀行に導入したと発表した。専門性の高い業務の効率化とデジタル化を加速させる動きとして注目できる。
きらぼし銀行がAIクラウドエディター「LAWGUE」導入
「LAWGUE」は、契約書や社内規程、開示資料など、企業活動における重要文書の作成・レビューをAIで支援するクラウド型サービスだ。特徴的なのは、過去文書をAIが学習し、自社基準に沿った自動補正や類似文書の提案を実現できる点である。
クラウド上に過去文書をアップロードするだけで、企業独自の知見がナレッジベース化され、検索・レビュー支援や体裁調整といった作業が一括で可能となる。
さらに、編集内容の共有やコメント機能なども備えており、クラウド環境上での円滑なチーム連携を可能にする。
きらぼし銀行は、ストラクチャードファイナンスなど高付加価値の金融サービスを展開し、地域の多様な資金需要に応えてきた。近年では、業務のデジタル化とペーパーレス化を課題として捉えており、今回の導入はその一環に位置づけられる。
FRAIMによると、すでに企業や法律事務所、自治体などでも導入が広がっており、業種を問わず文書業務の生産性向上に貢献しているという。
AI活用で文書業務の高度化へ DX推進と人材活用に波及も
今回の「LAWGUE」導入により、きらぼし銀行は日常的な文書業務の負荷を軽減させ、定型業務と戦略業務の比重をシフトできる可能性がある。
契約書や規程類の作成プロセスをAIが支援することで、確認作業やレイアウト調整などにかかる時間を削減でき、担当者はより付加価値の高い業務に集中できるだろう。
また、正確で迅速な文書対応が求められる銀行業務において、属人化しがちだった文書処理の標準化が進めば、内部統制の強化や法務リスクの低減にもつながり得る。
一方で、AIの提案精度は過去文書の質と量に左右される側面があるため、初期のデータ整備や運用方針の明確化が導入効果を左右する要素となる可能性が高い。
また、文書作成に関わる業務の一部が自動化されることで、担当部門の役割再編や人材育成にも影響が及ぶだろう。
それでも、金融業界を中心に「LAWGUE」のような業務特化型AIツールの活用が広がれば、DXの進展とともに、知的生産性の底上げが進むはずだ。
こうした文書AIが、ビジネス現場における標準インフラとなる日も、そう遠くないのかもしれない。