KaizenがLINE連携のパーソナライズAI提供開始 Web行動を覚え通知・推奨でCVR向上へ

2025年6月3日、DX支援のKaizen Platformは、WebとLINEをつなぐパーソナライズAI「Kaizen Personalize Agent」の提供を開始した。ユーザー行動を横断的に記憶し、最適なタイミングで通知・レコメンドを行う仕組みが注目されている。
LINE連携で“覚えて知らせる”新たな接客AIを提供
今回発表された「Kaizen Personalize Agent」は、ユーザーごとの行動データを活用して情報提供を自動化するAIエージェントである。タグ1行とWebhook(※)設定のみで導入できる手軽さが特徴だ。
同エージェントは、ブラウザ上のCookie情報とLINE IDを組み合わせて検索条件を記憶することが可能だ。
対象データベースに更新があれば、条件に合致する情報をLINEでプッシュ通知する。
さらに、LINE上のAIエージェントとの対話から得た興味・関心ワードは、次回Web訪問時にレコメンドとして表示される。
「Kaizen Personalize Agent」の開発背景には、デジタル商材特有の購買行動がある。
検討期間が長い一方で、在庫が突如消えるという“両極端”が混在する市場では、メールマガジンやアプリ通知の開封率低下、会員登録離脱といった課題が浮上していた。
今回の新機能により、ユーザーが毎回検索条件を入力する手間を省くことで、CVR(※)の向上を図ると同時に、企業側のメルマガ制作・配信の工数も削減する狙いがある。
また、6月2日から提供が始まった「Kaizen Conversion Agent」と組み合わせることで、相乗効果を発揮できる。Personalize Agentがユーザー行動を覚えて継続的に通知することで、Conversion Agentが最適なタイミングで購買や申込を促す構造だ。
成果報酬型の導入プランも用意されているため、企業は初期投資リスクを抑えながら効果検証を行うことが可能である。
※Webhook:特定のイベントが発生した際に、事前に指定されたURLに自動で通知を送る仕組み。API連携に比べ、リアルタイム性と手軽さが特徴。
※CVR(コンバージョン率):Webサイト来訪者のうち、購入や登録などの目的行動に至った割合。
今後の展望、LINE連携から広がるパーソナライズ戦略の未来像
「Kaizen Personalize Agent」の提供開始は、Webとメッセージングアプリを統合する接客型AIの進化系として注目できる。今後は、LINEに限らず、InstagramやWhatsApp、楽天ペイなどの他チャネルにも連携が拡張される可能性もあるだろう。
一方、LINE連携AIの市場は競争も激化しているため、今後は「どれだけユーザーに嫌われずに、自然な接客ができるか」が勝敗を分ける軸になると思われる。
成果報酬型の導入プランが今後も継続されれば、リスクを抑えたい中小企業の参入が進み、エコシステムが拡大していく可能性もある。
ただし、初期成果が上がらない場合の企業側の失望感をどう防ぐかも、長期的な成功の条件の一つとなりそうだ。