2026年10月26日、国内クラウド大手の株式会社ラクスが、問い合わせ自動応対システム「楽楽自動応対」において新機能「AI-FAQ」の提供を開始した。蓄積されたメールデータをAIが分析してFAQサイトを自動運用し、顧客対応業務の完全自動化を前進させる狙いだ。
メール履歴からFAQを自動生成、的確な検索で問い合わせを削減
株式会社ラクスは、問い合わせ自動応対システム「楽楽自動応対」(旧名称:メールディーラー)の新機能として「AI-FAQ」を正式にリリースした。同社はこれまで、メールデータをもとにした返信文案の自動生成やAI翻訳機能を提供してきたが、今回のアップデートは対応の効率化から踏み込み、メール対応件数そのものを減らすことを目的としている。
背景には、従来のチャットボットやFAQサイトを導入しても、顧客が意図した回答へたどり着けずに問い合わせに至ってしまうという根深い課題があった。チャットボットが的外れな回答を提示したり、FAQサイトの検索精度が不十分だったりすることで、自己解決が進まない事態が生じていた経緯がある。
「AI-FAQ」は、システム内に蓄積された実際のメールデータから頻出する質問を抽出して記事を作成するため、顧客の真のニーズを反映できる。さらに、AIを活用した「あいまい検索」により、検索語句が記事内の文字列と完全に一致しない場合でも意図を汲み取って適切な回答へ誘導する。日々のメール対応を通常通り進めるだけでFAQが自動で改善・運用され続ける仕組みとなっている。
問い合わせの自律的削減が進む一方、蓄積データの質が運用の鍵に
この「AI-FAQ」の導入により、顧客対応現場の業務構造は劇的な転換期を迎えるとみられる。担当者が経験則や勘に頼ることなく、実際の問い合わせ履歴に基づいた最適なナレッジベースが自動構築されるため、顧客の自己解決率は飛躍的に高まる見通しだ。17年連続で売上シェアNo.1を維持し、累計9,000社以上の導入実績を持つ同システム基盤上で提供される点も、導入企業にとって極めて大きな業務効率化の推進力になり得る。
一方で、メール対応業務の完全自動化には相応の配慮も求められる。自動運用を担うAIの精度は、基盤となるメールデータの質や量に影響を受けるため、過去の応対記録が整理されていない環境では十分な効果発現までに一定の期間を要する可能性がある。また、FAQサイトの利便性が向上しても、複雑な個別要件や例外的なトラブルに関しては引き続き人手による丁寧なフォロー体制の維持が不可欠となるだろう。
それでも、ナレッジの属人化を防ぎつつ対応件数自体を削減する本機能は、顧客接点の完全自動化へ向けた確かな試金石と言える。