米宇宙開発企業SpaceXが2026年第3四半期(7〜9月)の決算を発表した。
売上高は前年同期比161%増の146億ドル、純利益は44億ドルとなり黒字転換を達成した。
従来のAI部門から改称した「スーパーインテリジェンス(SI)」事業が成長を牽引した。
SI部門の売上高が約9.3倍に、純利益44億ドルを達成
SpaceXが、2026年10月20日に発表した2026年7〜9月期の売上高は145億7,500万ドルとなり、前年同期の55億7,600万ドルから大幅に増加した。
営業利益は27億9,100万ドルとなり、前年同期の2億7,300万ドルの営業損失から黒字転換。
純損益も前年同期の11億ドルの赤字から44億ドルの黒字に改善した。調整後EBITDA(※1)は約88億ドルに達している。
特に注目されるのが、従来「人工知能(AI)」と呼んでいた部門を改称した「スーパーインテリジェンス(SI)※2」事業の急成長だ。
同部門の売上高は前年同期の8億1,300万ドルから75億6,000万ドルへ拡大し、前年同期比830%増を記録した。
営業損益も17億2,200万ドルの赤字から4億3,100万ドルの黒字に転換している。
成長の背景には、新規クラウドサービス契約の稼働開始やAI開発ツール「Cursor」の買収、AIモデル「Grok」の利用拡大がある。
SpaceXは8月14日にCursorの買収を完了した。
買収時の含意株式価値は600億ドルで、米国会計基準に基づく買収対価は425億ドルとなった。
買収完了から9月末までに、Cursorは連結売上高に6億800万ドル貢献している。
さらに、常時稼働型のAIエージェント「Grok Bot」を導入し、AIモデルとアプリケーションの展開も進めた。
9月末時点の計算インフラの公称能力は1.7GWに達し、前年同期の0.6GWから大幅に拡大している。
既存の通信事業も堅調で、売上高は前年同期比69%増の52億4,800万ドルを記録。衛星通信サービス「Starlink」の一般消費者向け契約者数は1,360万人となった。
宇宙事業では、Starshipの初の軌道飛行を達成し、26基のStarlink V3衛星を投入した。
一方、設備投資額は全社で195億9,300万ドルに達し、そのうちSI部門が164億4,400万ドルを占めた。
※1 調整後EBITDA:企業の収益力を評価するため、純損益から減価償却費や株式報酬費用、利息、税金などの影響を除いて算出する指標。米国会計基準に準拠しないため、純利益とは区別する必要がある。
※2 スーパーインテリジェンス(SI):一般に人間の知的能力を広範な領域で上回る人工知能を指す概念。SpaceXでは従来のAI部門を改称した事業区分であり、超知能の実現を意味するものではない。
宇宙・通信・AIの垂直統合に期待、巨額投資が課題
今回の決算からは、SpaceXが宇宙輸送に加え、衛星通信とAIインフラを収益の柱とする複合技術企業へ変化していることが読み取れる。
特に注目すべきは、計算インフラからAIモデル、アプリケーションまでを一体的に展開する垂直統合戦略だ。
外部事業者への依存を抑えながらサービスを提供できれば、開発効率の向上や収益機会の拡大につながる可能性がある。
また、衛星通信で培ったインフラ運用技術をAI事業にも生かすことで、競合企業との差別化を図れるだろう。
一方、最大の懸念材料は巨額の設備投資である。AIインフラの拡張には継続的な資金投入が必要となり、需要の伸びが鈍化すれば投資回収に時間を要するリスクがある。
加えて、買収による事業規模の拡大は短期的な成長率を押し上げるものの、それだけで持続的な競争優位性が保証されるわけではない。
今後はAIサービスの収益性と設備投資の回収状況が重要な評価軸となる。
宇宙、通信、AIを組み合わせた独自の事業構造が、長期的な利益成長につながるかが焦点になりそうだ。
SpaceX Reports Third Quarter 2026 Results
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