コンテンツ爆増時代に「会話できるテレビ」を 生成AI搭載の新レグザが切り開く未来

2025年1月に米国ラスベガスで開催された「CES 2025」にて、TVS REGZAが発表した新型薄型テレビシリーズが注目を集めている。日本国内向けにも展開されるこの新レグザには、生成AIを活用した「レグザ インテリジェンス」が搭載され、視聴者との自然な会話を可能にするなど、従来のテレビ体験を大きく塗り替える技術が導入された。
生成AI×テレビの革新、「レグザ インテリジェンス」がもたらす体験とは
新レグザに搭載された「レグザ インテリジェンス」は、生成AI技術をベースに開発されたテレビ向けの新機能群である。視聴者の快適さと直感的な操作性を追求し、音声対話による操作やレコメンド、画質調整、音声最適化といった多岐にわたる機能を実現した。
中核をなすのは「AIボイスナビゲーター」であり、Googleの生成AI「Gemini」と連携することで、テレビに対して自然な言葉で話しかけるだけで操作やコンテンツ検索が行える仕組みだ。従来のリモコン操作から一線を画し、会話を通じて視聴体験が進化していく。
また「AIリコメンド」機能は、ユーザーの視聴履歴や好みに基づき、自動的にコンテンツを提案する。膨大な配信コンテンツの中から、迷うことなく“今見たいもの”に辿り着けるという点で、日常的な使いやすさが大きく向上している。
画質面でも革新は進んでおり、「AIシーン高画質PRO」はシーン単位での映像解析を通じて、リアルタイムで画質を最適化する。暗部のディテールや色彩の忠実度が向上し、映像表現の幅が広がった。
さらに「AI快適リスニング」により、登場人物の声と環境音を自動分離することで、ニュースやドラマなどの音声が明瞭に聞き取れるようになる。特に在宅ワーク中や子育て世代の家庭において、その効果は高いと考えられる。
操作不要、探す手間もゼロへ レグザが目指す“テレビ回帰”の未来
スマートフォンや動画配信サービスの普及によって、視聴者の選択肢は爆発的に広がった。その一方で「何を見るか迷う」「探すのに時間がかかる」といった情報過多によるストレスも生まれている。新しいレグザはこうした課題に応える形で、「テレビを再びリビングの中心へ」というビジョンを掲げている。
石橋泰博副社長が「テレビ視聴の本来のスタイルへの回帰」と表現するように、生成AIを用いた一連の機能は、パソコンやスマートフォンを介さず、視聴者がただ“話しかけるだけ”でコンテンツへ辿り着ける環境を実現する。操作不要、リモコン不要のスタイルは、ある意味でテレビの原点を進化させたものといえる。
国内では、Z670RからX9900Rまで幅広いシリーズが展開され、43V型の165,000円から85V型の880,000円まで価格帯も多様に設定されている。発売は4月18日から順次開始されており、早くも話題を呼びそうだ。
今後は、音声認識精度のさらなる向上や、サブスクリプションサービスとの連携強化によって、視聴者にとっての“迷わない視聴体験”がますます洗練されていく可能性がある。
テレビが再び主役となる時代が、AIという新たな力によって現実になろうとしている。