仮想通貨取引プラットフォームeToroがナスダック上場を目指しIPO申請

イスラエル拠点の仮想通貨取引プラットフォームeToroは2025年3月24日、米国証券取引委員会(SEC)にIPO申請を行ったことを発表した。
eToroはナスダック・グローバル・セレクト・マーケットにティッカーシンボル「ETOR」で上場を目指している。企業価値50億ドル以上での上場が見込まれるとのことだ。
IPOの規模
eToroは2024年、仮想通貨市場の活況を追い風に収益が大幅に拡大した。仮想通貨取引の普及とともに、プラットフォームとしての使いやすさが評価され、同社のプラットフォーム利用者が増加しているのである。
企業価値評価は50億ドル以上と予想され、これは2023年の資金調達時における評価額35億ドルから大幅な上昇となるだろう。主幹事銀行にはゴールドマン・サックス、ジェフリーズ、UBS、シティグループといった大手金融機関が名を連ねており、大型IPOとなる可能性が高い。
なお、eToroは2021年にも特別買収目的会社(SPAC※)との合併による上場を計画していたが、当時の市場環境の悪化により中止に追い込まれた経緯がある。今回は通常のIPOプロセスを選択し、より安定した形での上場を目指す構えだ。
※特別買収目的会社(SPAC):
既存事業を持たず、未公開企業との合併によって上場を実現させるための投資ビークル。ブランクチェックカンパニーとも呼ばれる。
今後の展望
eToroは現在75カ国で約350万の資金口座を持つグローバルな取引プラットフォームへと成長した。
同社が英国市場を主力としながらも米国での上場を選択したのは、米国市場における流動性の深さと投資家層の厚みを重視したためだと考えられる。
仮想通貨関連企業が主要取引所に上場するケースが増えているが、eToroのような総合的な取引プラットフォームの上場は市場に大きなインパクトをもたらす。
IPOは2025年第2四半期に実施される見通しだが、具体的なタイムラインは市場条件や規制当局の承認プロセスに左右される。
また、仮想通貨市場特有の価格変動性や、各国における規制環境の変化といったリスク要因も残されている。
特に米国では仮想通貨に対する規制フレームワークが発展途上にあり、今後の政策変更がビジネスモデルに影響を与える可能性も否定できない。
eToroのIPO成功は、仮想通貨関連ビジネスの信頼性向上と業界全体の成熟度を示す重要な指標となるはずだ。
伝統的な金融システムと仮想通貨エコシステムの融合が進む中、eToroの上場への動きは多くの投資家から注目を集めていくことになるだろう。