スカパーJSATとPenetrator、不動産業界向けに衛星画像を活用した土地変化検出システムを開発

2025年5月8日、スカパーJSATとJAXA発スタートアップのPenetratorが、異なる時期の衛星画像から土地の変化を検出する新システムを共同開発したと発表した。
日本国内の不動産業界に向けて、業務の効率化とデジタル化を後押しする技術として注目されている。
アナログ業務を変える衛星データの応用
スカパーJSATとPenetratorは、2025年2月に業務提携を締結して以降、不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を目的とした技術連携を進めてきた。
Penetratorは同年4月に実施したシリーズAラウンドで5.5億円の資金調達を実施し、スカパーJSATも出資に参加している。
今回の技術開発は、その連携の一環として生まれた成果である。
開発されたシステムは、Penetratorが展開する不動産業務支援SaaS「WHERE」上で提供され、異なる撮影時期の衛星画像から地表の差異を抽出し、土地の変化を検出する仕組みだ。
スカパーJSATが有する衛星データ解析技術を活かすことで、高精度かつ高頻度の更新が可能になった。
特に月単位でのモニタリングが現実的となり、従来のフィールドワーク中心の方法からの脱却を後押しする。
不動産業界では、現地調査に多くの時間と労力が割かれているのが現状だ。
今回のシステムを導入すれば、都市開発や用地調査において、変化が発生した箇所を自動で把握できるようになり、人的リソースの削減と業務のスピードアップが可能になると見られている。
今後の展望
スカパーJSATとPenetratorが共同開発した土地変化検出システムは、不動産業界の業務効率化とデジタル化を推進する技術として注目されている。
特に、衛星画像とAIを活用したこのシステムは、従来の人手による現地調査に依存していた不動産業務に革新をもたらす可能性がある。
今後の展望としては、まずシステムの精度向上と対象エリアの拡大が挙げられる。これにより、より多くの不動産業者がこのシステムを導入し、業務の効率化を図ることが期待される。
また、この技術の応用範囲は不動産業界にとどまらない。たとえば、農地や森林の管理、災害時の状況把握など、多様な分野での活用が考えられる。
特に、災害時には迅速な被害状況の把握が求められるため、衛星画像を活用したこのシステムは有効な手段となり得る。
一方で、データの更新頻度とコストのバランスが課題となる。高分解能の衛星画像は従来高コストであったが、スカパーJSATの技術により、コストを抑えつつ高頻度のデータ更新が可能になっている。
今後もこのバランスを維持しつつ、より多くのユーザーにとって利用しやすいシステムの構築が求められる。
このように、スカパーJSATとPenetratorの共同開発による土地変化検出システムは、不動産業界のみならず、さまざまな分野での活用が期待される。
今後の技術の進化とサービスの拡充により、社会全体のデジタル化と効率化が進むことが予想される。