インフォアジャパン発表　AI搭載のInfor Velocity Suiteが業務改革支援

2025年6月3日、ERP（基幹業務システム）大手のインフォアジャパンは、生成AIと自動化技術を統合した新ソリューション群「Infor Velocity Suite」の一般提供を発表した。
国内企業の業務プロセス改善を短期間で実現する仕組みとして注目される。

生成AIで業務改革を加速　「Infor Velocity Suite」を国内展開

インフォアジャパンが発表した「Infor Velocity Suite」は、企業の業務プロセス革新を支援する包括的なパッケージである。本製品は、同社のクラウド基盤「Infor Industry Cloud Platform」上に構築され、プロセスの「診断」「自動化」「最適化」の各フェーズをシームレスに実行できる。

診断フェーズでは、プロセスマイニングツール「Infor Process Mining」により、「Infor Cloud Suite」上の業務データを解析。これにより、標準プロセスから逸脱する非準拠手順やボトルネックを可視化し、改善ポイントを特定できる。

次に、業界別テンプレートを集約した「Infor Value＋」を通じて、生成AIとRPA（ロボティクスプロセスオートメーション）を活用し、課題に即応する自動化フローを実装。
従来は数カ月を要した改善策の実装が、わずか数日〜数週間で完了するという。

製造業や流通業を中心とした顧客に向けて、すでに業界特化型ユースケースが用意されており、導入の初期段階から実効性を確保できる設計になっている。

数週間で業務改善を実現へ　AI活用がもたらす期待と課題

Infor Velocity Suiteの最大の特徴は、生成AIを活用した即効性にある。従来の業務改革は長期的な分析と開発を要していたが、本ソリューションでは既存の業務データから改善点を抽出し、自動化までを迅速に進められる点が評価できる。

企業にとっては、導入初期からコスト削減や人手依存の軽減が見込まれ、短期間でROI（投資対効果）を実感しやすい。特に人的リソースが限られる中小企業にとっては、業務の標準化と効率化の起点となる可能性が高い。

一方で、導入には既存システムとの連携や業務文化の見直しも必要となる。生成AIによる自動化は、誤処理や過学習リスクも内包するため、運用段階でのモニタリングや人による判断の介在が不可欠である。

また、生成AIによる改善提案の質は、入力される業務データの精度に大きく依存する。したがって、導入前に業務データの整備が求められる点も課題として考えられる。

今後は、導入企業の実績や改善効果が蓄積されることで、より多様な業界や領域への展開が加速すると見られる。