Google、ローカルなAIモデルをスマホで直接実行可能に 新アプリ「AI Edge Gallery」公開

米Googleは2025年5月21日、AIモデルをスマートフォンにダウンロードしてローカルで実行できる新アプリ「Google AI Edge Gallery」をAndroid向けにリリースした。
Hugging Faceなどで公開された生成AIを、通信不要で端末上から操作できる仕様が注目を集めている。
Googleがスマホ用新アプリを提供
「Google AI Edge Gallery」は、現時点ではAndroid版のみ提供されており、iOS版は近日中に登場予定である。
本アプリは、オープンソースAIモデルの公開プラットフォーム「Hugging Face」にある各種モデルをスマートフォンに直接ダウンロードし、オフラインで利用できるようにするもの。
Googleによると、通信環境が不安定な状況でも、高度な画像生成や質問応答、コード生成などのAI処理をローカルで完結できるのが最大の特徴だという。
同アプリで実行可能なモデルには、Google独自の「Gemma 3n」などが含まれ、ユーザーは画像解析やチャット応答などの機能を選択可能。
「Ask Image」や「AI Chat」などのショートカットが用意されており、選んだタスクに適したモデル候補が提示される仕組みとなっている。
また、「Prompt Lab」機能では、要約・言い換えなど単一入力の自然言語処理タスクを手軽に試すことができ、モデルの挙動や出力調整も細かく設定可能。
アプリは実験的なアルファ版であり、GoogleのGitHubページからAPK形式でダウンロード可能だ。
なお、Apache 2.0ライセンス(※)のもとで公開されており、商用・非商用を問わず幅広い展開が可能である。
生成AIの民主化が加速 ハード依存と性能差が今後の焦点に
Google AI Edge Galleryは、生成AIのローカル処理を一般ユーザーにも開放する試みとして評価できる。特に、スマホアプリで実行可能であることは、利便性において大きな進歩といえよう。
とりわけ医療、教育、防衛といったセキュリティ要件の高い領域では、通信不要なAI実行環境が注目されるだろう。
一方で、Google自身も「モデルの性能は端末の処理能力に依存する」と明示しており、Gemma 3nのような大型モデルでは高性能スマートフォンが前提となるケースがある。
また、モデルのサイズと実行速度はトレードオフの関係にあり、ユーザーのハードウェア選定や活用シナリオによっては、使い勝手にばらつきが出ることが予想される。
Googleは現在、開発者コミュニティに向けたフィードバックを募集しており、今後の機能強化やデバイス対応の拡充にも期待がかかる。
生成AIの本格的な「エッジ化」は、AIのローカル化に寄与するかもしれない。
※Apache 2.0ライセンス:ソースコードの改変・再配布を許可するオープンソースライセンス。商用利用も可能で、利用範囲が広く設定されている。
「Google AI Edge Gallery」GitHubページ:https://github.com/google-ai-edge/gallery