Googleスプレッドシート、Gemini対応で言葉での操作が可能に

2025年5月13日、米グーグルは「Googleスプレッドシート」におけるGemini対応機能を大幅に強化すると発表した。日本を含む対応地域で、特定の有料プランユーザーに対し、5月14日から順次提供が開始されている。
今回のアップデートにより、ユーザーは自然言語によってスプレッドシート上の各種操作を直感的に実行できるようになるとみられる。
操作を“話しかけるだけ”に スプレッドシートの利用体験を再構築するGeminiの新機能
グーグルが発表した新機能は、AIの自然言語処理技術(※)をスプレッドシート操作に応用したものであり、従来のマニュアル的操作ではなく、より直観的に操作できるようになるとみられる。
ユーザーはセルの選択や関数の入力、書式設定といった従来の手順を知らなくても、「B列にカテゴリーのドロップダウンを作成して」や「1000ドル以上の売上を緑色でハイライトして」といった指示を自然言語で入力するだけで操作が完了するという。
新機能では、ピボットテーブルの生成、特定条件でのフィルター、売上高順の並べ替えなどもカバーされており、いずれも1つのテーブル範囲までに制限される。
指示を出すとGeminiはその結果をプレビューカードで提示し、ユーザーが「適用」を選ぶことで反映される仕組みだ。誤った操作や変更も「元に戻す」で簡単に修正できる点も特徴である。
この機能は、Google Workspace Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Gemini Educationアドオンユーザー、Google One AI Premium、また、以前にGemini BusinessまたはGemini Enterpriseアドオンを購入したユーザーなど、特定プラン契約者に順次展開されるという。
実務の中で複雑な表計算を扱うユーザーに対して、学習コストを削減しつつも業務効率を高める機能として、活用が期待できる。
拡張の余地と課題 Geminiによる業務支援の今後の展望
今回のスプレッドシートのGemini対応は、操作性を大きく進化させる可能性はあるが、すべての操作が自然言語に対応しているわけではない点には留意が必要だろう。
対応範囲はあくまで一部機能に限定されており、複雑な関数のネストや複数シートにまたがる操作などは今後の対応が待たれる領域であるとみられる。
一方で、すでにGoogleドキュメントやGmailなど、他のWorkspace製品にもGeminiが導入されており、今後はさらに多くの場面で自然言語操作が可能になると予想される。
AIを使いこなす専門知識がなくても高度な作業を行える世界が、現実のものとなりつつある。
このような進化は、企業内の作業標準を変えるだけでなく、教育分野や個人利用にも波及していくと考えられる。
Geminiが拡張されることにより得られるユーザーのフィードバックを取り入れ、改善が重ねられることで、より高度かつ柔軟な業務支援機能へと進化していく可能性が高いだろう。
※自然言語処理技術:人間の言語をコンピュータが理解・解釈し、応答する技術のこと。AI分野における主要な応用領域の一つ。