Playtronのゲーム特化ステーブルコイン「Game Dollar」年内始動　

2025年5月2日、ドバイで開催されたSui Basecampにて、ゲーム開発企業Playtronが、Suiブロックチェーン上に構築するゲーム特化型ステーブルコイン「Game Dollar」を年内にローンチすると発表した。
グローバルなWeb3ゲームエコシステムにおける次世代通貨として注目されている。

GameOSとSuiPlay0X1をつなぐ仮想通貨

Playtronが構想する「Game Dollar」は、ゲーム向けに最適化されたステーブルコインとして、ゲームOS「GameOS」および携帯型ゲーム機「SuiPlay0X1」の中核通貨となることを目指している。
Suiは高い処理性能をもつレイヤー1ブロックチェーンであり、その上に構築されることで、決済の即時性や透明性が期待されている。
PlaytronはこのGame Dollarを、ゲーム購入、サブスクリプション、ユーザー報酬など、あらゆる取引に組み込む計画だ。

この通貨の特徴は、米国短期国債を裏付け資産とし、安定性を確保している点にある。
運用はデジタル資産基盤「M0」プラットフォームを通じて行われ、準備金の利回りはユーザーの行動促進や新規ユーザー獲得に再投資される設計となっている。

また、「Game Dollar」はプログラム可能な通貨として設計されており、用途をあらかじめ制限することが可能である。
これにより、特定タイトル内での利用やキャンペーン的な還元施策など、柔軟な運用が実現される見込みだ。

Playtron CEOのカート・マックマスター氏は「Game Dollar」を「スターバックスのデジタルウォレットのような存在」と例え、ユーザーがゲーム購入時に獲得したポイントを再利用するような体験を提供したいと語っている。
従来のゲーム内通貨をブロックチェーンによってアップグレードする試みであると言える。

今後の拡張性と課題

「Game Dollar」はPlaytronのハード・ソフト両面を支える決済基盤として設計されているが、その役割は同社のエコシステム内にとどまらない可能性がある。
Playtronは今後、他のゲームマーケットプレイスとの統合を目指し、Game Dollarを外部プラットフォームでの決済通貨として拡張する方針を明かしている。
これが実現すれば、ゲームタイトルをまたぐ共通通貨としての地位を確立することも視野に入ってくる。

一方で、法規制やユーザー体験への配慮といった課題も残る。
ステーブルコインの導入は、為替変動リスクを排除しつつも、暗号資産へのリテラシーを求める点で新規層の参入ハードルを高めかねない。
さらに、Game Dollarが汎用通貨となるためには、他社ゲーム開発者にとっても魅力あるインセンティブ設計が必要となるだろう。

Game Dollarは、Web3ゲーム経済圏のトークン設計に一石を投じる事例といえるだろう。