カシオ、生成AIで設計したG-SHOCK「MTG-B4000」を発表 人とAIの共創がもたらす新フレーム構造

2025年5月27日、カシオ計算機は、G-SHOCKの高級ライン「MT-G」シリーズに、生成AIを活用した新モデル「MTG-B4000」を追加すると発表した。
市販モデルとして初めてAIによる構造設計支援を取り入れ、6月13日より国内販売を開始する。
生成AIが設計に関与 MTG-B4000が新たなG-SHOCK像を提示
MTG-B4000は、異素材を組み合わせた複雑なフレーム構造を特徴とするG-SHOCKの新フラッグシップモデルである。
その開発工程には、G-SHOCK史上初めて生成AIが導入された。
人間が構想したデザインに対して、AIがG-SHOCK固有の耐衝撃構造に基づく荷重シミュレーションを実行。
素材特性や加工性、構造強度のバランスを評価し、最適な構造案を提案した。
人の手による検証や改良も加えることで、AIならではの独創性を持ったフレームを作り出した。
また、フレームとバンド接続部を一体化する構造を採用。
バンドに加わる外力を直接受け止めることで、センターケースへの衝撃を効果的に分散させる。
これにより、G-SHOCKの代名詞である「耐衝撃性能」が一段と進化したといえる。
また、フレームにはカーボンとグラスファイバーを積層した素材を削り出し、美しいレイヤー模様を実現。
ベゼルの一部には、ザラツ研磨を施すことで、角度によって異なる立体感と上質感を演出している。
実用性に優れていることにも注目したい。
Bluetooth®によるスマートフォン連携や、世界6局対応の電波受信機能を備え、専用アプリ「CASIO WATCHES」との連携により自動で時刻補正が行われる。
これにより、日常使いとしての快適さも確保しているといえる。
AI導入によるデザインと機能の革新
今回、人間の創意とAIの解析力が融合することで、耐久性・加工性・審美性を兼ね備えた新たな腕時計像が提示された。
AI導入による設計プロセスの刷新は、G-SHOCKにとって大きな転換点となるだろう。MTG-B4000は、その象徴的な第一歩と言える。
この試みは、G-SHOCKブランドの技術的進化だけでなく、プロダクトデザイン全体への波及効果も期待できる。
製造業界では、AIの導入が設計と生産の境界を溶かし、新たな創造性を引き出す手段として注目されている。そのため、カシオが市販モデルで先駆けて実践したことは、他メーカーへの刺激になるだろう。
一方で、生成AIの提案は既存のデータに強く依存するため、「斬新さ」が一見してあっても、過去の最適解の組み合わせに過ぎないケースも考えられる。
人間の直感的な飛躍や文化的・美意識に基づいた創造とは異質である点には注意が必要だろう。
とはいえ、G-SHOCKのように耐久性と信頼性を追求するブランドでAIとの協創が実現した意義は大きく、AIを活用したプロダクトデザインがさらに進化する弾みとなるだろう。