電通デジタルが「∞AI」大幅アップデート　AIエージェントでデジタルマーケティングを革新

電通デジタルは2025年3月24日、AI活用のマーケティングソリューション「∞AI（ムゲンエーアイ）」を大幅にアップデートし、社内での本格運用を始めたと発表した。
このアップデートは、AIエージェントを導入することにより企業が抱えるマーケティング課題に対し、迅速かつ精緻な対応が可能になることを狙いとしている。

AIエージェント導入でマーケティングの精度とスピードが向上

近年、企業は顧客データの分析や活用を重視し、よりパーソナライズされたマーケティング施策を求めている。
そこで電通デジタルは、「∞AI」にAIエージェントを導入し、データ統合から施策立案、効果分析までを一貫してサポートする体制を整えた。

新機能の中核を担うのが「∞AI Marketing Hub」だ。企業が保有するデータを統合・構造化し、リアルタイムで顧客ごとのカルテを作成する「Customer Data Hub」や、仮想顧客AIを活用してマーケティング戦略の仮説検証を高速化する「Customer Twin」が新たに搭載された。
さらに、マーケティング施策の立案を支援する「MC Planning」や、顧客体験の向上を目的とした「CX Planning」も含まれており、企業はより精度の高い施策を迅速に実行できるようになる。
また、「∞AI Ads」は広告制作プロセスを最適化し、画像・動画生成の精度向上や、広告効果の事前予測を可能にする。

これにより、従来のマーケティング手法と比較してAIの活用により迅速かつ効果的なPDCAサイクルが実現可能となる。

期待される影響と業界の反応

今回の「∞AI」のアップデートは、デジタルマーケティングにおける精度と効率を大幅に向上させる可能性を秘めている。
特に、AIエージェントの活用によってデータ統合から施策立案、効果分析までを一貫して自動化できる点が大きな強みだ。
この新しいアプローチにより迅速かつ戦略的な判断が可能になり、短期間での成果向上が見込まれる。

業界内でもこの動きは注目を集めるだろう。
AIエージェントを活用したマーケティングの自動化・最適化の流れはさらに加速し、他の広告代理店やマーケティング企業も同様の技術を導入することが予想される。
将来的には、企業ごとにカスタマイズ可能なAIソリューションの需要が高まり、「汎用型AI」から「特化型AI」へのシフトが進むだろう。

一方で、企業がAIに過度に依存すると人間の戦略的思考が低下するリスクも懸念される。
また、AIが高度な分析を行うにつれて、マーケティング担当者がそのロジックを理解しにくくなり「ブラックボックス化」する恐れもある。
そのため、企業は独自の創造性やブランド戦略を強化し、AIを補完する姿勢が求められる。

電通デジタルは、引き続きAI技術の進化に合わせてさらなる機能追加や改良を進める方針だ。企業のデータ活用がますます重要になる中で、マーケティングのデジタル変革を推進する「∞AI」の影響力は今後さらに拡大していくだろう。