EU諸国の暗号資産に関する政策は？｜5分で読める現状と最新ニュース

2024-11-18

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近年、世界規模の広がりを見せている暗号資産や仮想通貨は「各個人で資産や情報を管理する」という基本理念があるため、一人一人の権利・自由が保障されている一方、それを取り巻く環境は一種の「無秩序状態」と言えるかもしれません。

そこで、世界各国の政府は利用者保護のために様々な政策を執り行っています。
今回は、その中でも「EU諸国」での政策動向に着目して現状と最新動向をまとめます。

EU諸国における暗号資産政策の現状

まず結論から言うと、EUでは暗号資産に対する規制の明確化や利用者保護に向けて厳しい政策を実行しているものの、暗号資産を禁止するほど極端な姿勢は示していません。

EU圏での暗号資産や仮想通貨に関する政策は、2023年6月に施行された「暗号資産市場規制（MiCA：Markets in Crypto-Assets）」を中心に展開されています。
この規制は、暗号資産の発行、取引、サービス提供に関する包括的なルールを定め、消費者保護や市場の公正性を確保することを目的としたものです。

MiCAの主な特徴

透明性の確保：投資家がリスクを理解しやすくするために、暗号資産の発行者は、発行や取引所への上場の際に詳細な情報（ホワイトペーパー）を開示する必要があります。
サービス提供者の認可・監督：暗号資産サービス提供者（CASP：Crypto-Assets Service Provider）は、EU圏内で統一された免許を取得することが求められます。これにより、EU各国で異なる規制が適用されることなく、一貫した監督が可能になります。
ステーブルコイン規制：ステーブルコイン発行者には、顧客資金をバックアップするための十分な現金を保有することが求められています。
トラベルルール：MiCAはマネーロンダリング防止のための「トラベルルール」を導入しており、暗号資産取引が透明かつ追跡可能な方法で行われることを求めています。
利用者保護：利用者の権利を強化し、安全に取引できる環境を整備しています。暗号資産の発行者は、利用者に向けて価格設定ポリシーや苦情処理システムを開示する義務があります。

MiCA開始以降のEUにおける暗号資産ニュース

では実際に、MiCAの開始によってEU加盟国にはどのような影響があったのでしょうか。この章では、EUにおける暗号資産ニュースの一部をまとめます。

コインベースが非準拠ステーブルコインの上場廃止

大手仮想通貨取引所である「コインベース」は、MiCAの要件を満たすために、EU圏内で規制に準拠していないステーブルコインの上場を2024年12月30日までに廃止すると発表しました。

特にテザー（USDT）は電子マネーライセンスを取得していないため、影響を受ける可能性があります。一方、Circleが発行する「USDC」はEU初の公式電子マネー機関として運営を続けることができます。

アイルランド政府が新たな暗号資産法を立案

アイルランド政府は、2024年12月30日にEUで施行される予定のマネーロンダリング防止（AML：Anti-Money Laundering）ガイドラインに先立ち、緊急で新しい暗号資産法を起草しています。

この新しい規制では、仮想通貨取引所などの暗号資産プラットフォームに対して、トレーダーに関する詳細な情報提供が義務付けられ、一定基準を超える取引に対しては監視が強化される予定です。
アイルランド政府は、金融システムが違法行為に利用されないよう努めており、EUの金融ハブとしての地位を維持することを目指しています。