Crypto.comとCanary、CRO連動の私募信託「Canary CRO Trust」設立 米国で初の試み

2025年5月19日、米暗号資産取引所Crypto.comと暗号資産投資企業カナリー(Canary)は、暗号資産クロノス(CRO)の価格に連動する米国初の私募投資信託「Canary CRO Trust」を設立したと発表した。米国の認定投資家に限定して提供される。
CROに連動する米国初の投資信託設立
Crypto.comとCanaryは、CROトークンを対象とした私募信託「Canary CRO Trust」の提供開始を明らかにした。
この信託は、CROの市場価格に連動し、米国内の認定個人・機関投資家を対象に限定販売される。
CROは、Crypto.comが展開するレイヤー1ブロックチェーン「クロノス(Cronos)」のネイティブトークンだ。
クロノスは、コスモスSDK(※)とイーサリアムバーチャルマシン(EVM:Ethereum Virtual Machine)に対応し、相互運用性とスケーラビリティを両立したブロックチェーンとして設計されている。
今回の私募信託はETF(上場投資信託)ではないが、CROへのエクスポージャーを米国内の投資家に初めて提供するファンドとして注目されている。
Crypto.comは、機関投資家向けのCROアクセス拡大により、トークンの流動性と認知度向上を図る構えだ。
ETF計画も進行中 CRO市場の本格普及に弾みか
Crypto.comはETF市場への進出も視野に入れており、今年4月にはTrump Media and Technology Group(TMTG)とCROを含む暗号資産バスケットETFの提供に向けた契約を締結済みである。
TMTGのETF組成は、同社の金融ブランド「Truth.Fi」が担当し、提供はCrypto.comの米子会社であるForis Capital USを通じて行う予定とされる。
ETF化が実現すれば、さらに広範な投資家層へのアクセスが可能となる。
一方、今回のファンドはETFではなく私募型であるため、流動性や価格発見機能に限界がある。
また、CRO自体の市場規模や取引量は、ビットコインやイーサリアムなどの主要資産に比べて依然として限定的である。
今回の私募信託設立は、暗号資産が証券市場に接続される「ブリッジ」として機能するだろう。
※コスモスSDK(Cosmos SDK):ブロックチェーン開発用のオープンソースフレームワーク。高い柔軟性とモジュール性を特徴とし、独自チェーン構築を容易にする。