米国人の3人に1人がAIを毎月活用 Comscoreが包括データを公開

2025年5月29日、米調査会社ComscoreはAI利用状況に関する新たなデータセットの提供を開始した。米国内では毎月3割以上の人がChatGPTやGeminiなどのAIを活用しており、その実態が明らかとなった。
AIの月間利用率が30%超、米国内で日常化が進む
米調査会社Comscoreは、AIツールの利用実態を可視化する新たなデータセットを公表した。
117種類のAI関連サービスについて、米国における月間訪問者数をPCとモバイルの両方から測定したもので、企業や広告主、研究者に向けたインサイト提供を目的としている。
対象となるサービスには、ChatGPTやMicrosoft Copilot、Google Geminiといった主要生成AIのほか、GrammarlyやCanva、Voicemodなど、AI機能を活用する幅広いツールが含まれる。
細かく分析されたデータの提供により、利用者の属性や行動の変化を定量的に把握することが可能となった。
Comscoreによれば、米国内の約30%に相当する人々が毎月何らかのAIを利用している。
デスクトップではChatGPT、Copilot、Canvaが上位3位を占め、モバイルにおいてはChatGPTに加えてOctane AIやBeaconsが存在感を示している。
特に音声や画像生成、デザインといったカテゴリにおいて、利用が拡大傾向にあるとのことだ。
AI普及の加速で変わる消費行動、企業の対応力が成否を分けるか
Comscoreの最高商務責任者Steve Bagdasarian氏は、「この新しいデータセットは、AIツールが急速に普及している状況を明らかにするだけでなく、こうした消費者行動の変化がデジタルエコシステム全体に与える影響を理解するのに欠かせない基本的な指標を提供するものだ」と述べている。
確かに、AIの利用が日常化することで、コンテンツとの関わり方や意思決定プロセスに変化が生じているのは明らかである。
特に、モバイルでのAI活用が急増している点は注目に値する。
ChatGPTやGeminiといった大規模言語モデル(※)に加え、SNSマーケティング支援ツールのBeaconsやOctane AIなどがランキング上位に並ぶことで、ビジネスや個人ブランディングへのAI活用が加速しているといえる。
企業にとっては、こうした消費者の行動変化に迅速に対応する能力が競争力を左右する要素になると思われる。
現代のビジネスにおいては特に、AI対応を後回しにすることで、ユーザーとの接点を失いかねない。AIを活用し、利用動向を先取りすることで、広告戦略や商品設計において優位性を確保するチャンスも生まれるだろう。
一方で、AI利用の広がりが新たなリスクを生む可能性も無視できない。誤情報の拡散や倫理的懸念など、今後の法規制や社会的な議論には注視が必要だ。
AIが普遍的なツールとなる未来に備え、企業・個人ともに、対応力が問われる時代が本格的に到来したといえるのではないだろうか。
※大規模言語モデル:膨大なテキストデータをもとに学習し、人間に近い自然な文章を生成できるAIモデル。