ルミス上院議員、トランプ大統領のビットコイン準備計画を法制化する法案を再提出

2025年3月11日、米国ワイオミング州のシンシア・ルミス上院議員(共和党)は、ドナルド・トランプ大統領が推進する戦略的ビットコイン準備金計画を法制化するための「BITCOIN法案」を再提出した。
BITCOIN法案の目的と具体的な内容
BITCOIN法案は、米国政府の財務基盤を強化し、国家債務の抑制とデジタル資産の活用を同時に進めるために策定された。
具体的には、米国財務省が運営する「分散型の安全なビットコインボールト(※)」の設立と、「100万ビットコイン購入プログラム」の実施が含まれる。
このプログラムは、ビットコインの総供給量の約5%を取得することを目指しており、米国がデジタル資産市場において主導的な地位を確立する意図がある。
資金調達については、新たな歳出を伴うものではなく、連邦準備制度理事会および財務省が保有する既存の資金を多様化する形で賄われる予定だ。
この方法により、追加的な財政負担を回避しつつ、ビットコインを国家資産として組み込むことが可能になる。
法案に対する賛否の声と今後の展望
この法案には、ルミス議員のほか、共和党上院議員のジム・ジャスティス、トミー・タバービル、ロジャー・マーシャル、マーシャ・ブラックバーン、バーニー・モレノが共同提案者として名を連ねている。また、下院でもニック・ベギッチ議員が同様の法案を提出しており、議会内での支持を広げる動きが進んでいる。
ルミス議員は自身のSNSで、「大統領の先見的な行政措置を永続的な法律に変えることで、国家債務に対処しながら世界経済における競争力を維持し、デジタル革新の可能性を最大限に活用できる」と発言した。
法案が可決されれば、米国政府が大量のビットコインを保有することとなり、ビットコイン市場の価格形成に大きな影響を与える可能性がある。
しかし、規制当局や民主党を中心とした反対派の影響も無視できない。政府がビットコインを公的資産とすることで、規制強化の動きが加速する可能性があり、これは市場の自由度を損なう要因にもなり得る。
さらに、国家が特定の仮想通貨を戦略的に保有することは、中央銀行による金融政策の独立性にも影響を与える可能性があり、連邦準備制度(FRB)との対立を生むリスクも指摘されている。
法案が通るかどうかにかかわらず、今後も政府レベルでのビットコイン活用に関する議論は続くと考えられる。
仮に法案が否決されたとしても、今後の政権交代や国際情勢の変化によって、再び公的資産としてのビットコイン活用が浮上する可能性は否定できない。
したがって、短期的な政治的な動向だけでなく、中長期的な視点で仮想通貨市場全体の成長を見極めることが重要になるだろう。
※ビットコインボールト:政府や企業がビットコインを安全に保管するための仕組み。ハッキングなどのリスクを抑えるために、強固なセキュリティが施される。