米ニュースメディア連合、Googleの『AIモード』に「記事の窃盗」と猛反発

2025年5月21日、米ニュースメディア連合(NMA)は、Googleが提供を開始した「AI Mode」機能について、「利益を奪う窃盗行為だ」と非難する声明を発表した。
AIによる要約回答機能がニュースサイトのトラフィックと収益に深刻な影響を与えると警告している。
Googleの新機能「AI Mode」に米メディアが反発
Googleは今週、検索結果にAIが直接回答を提示する「AI Mode(※)」の提供を開始した。従来の「AIによる概要(AI Overviews)」よりも高度な検索体験を提供し、ユーザーがキーワードを入力すると、GeminiがWeb上の情報を分析して簡潔な回答を生成する仕組みである。
Googleはあわせて、映画チケットの自動購入や映像からの検索などの追加機能もテストする予定であり、AIの導入を本格化させている。
しかし、これに対し米国内のニュースパブリッシャーで構成されるNMAは、「Googleはコンテンツを強引に奪い取り、何の見返りも求めずに利用している。まさに窃盗そのものだ」と主張。
実際にユーザーは記事全文を読みに行く必要がなくなり、結果としてウェブサイトへのアクセスが減少する懸念が高まっている。
NMAのダニエル・コフィー会長は「リンクは最後に残された命綱だった」と述べ、検索経由で得られていた貴重なアクセスと広告収益が失われると危機感を示した。
収益モデル揺るがすAI検索 司法省にも対応を要請
Googleの「AI Mode」は、利便性の向上と引き換えに、コンテンツ提供側の持続可能性を脅かす可能性がある。
NMAは今回の声明の中で司法省に対しても、「Google検索訴訟の救済措置は、この問題に対処し、一企業によるインターネット支配の継続を阻止しなければならない」と述べている。
さらに、Bloombergは今週、Google社内文書の存在を報道。同文書では、ニュースパブリッシャーが検索結果への掲載を望む場合、AI学習用に記事データの提供が前提となる方針が示されていた。
これが事実であれば、パブリッシャー側の選択肢は事実上奪われることになる。
Googleの検索責任者リズ・リード氏は、米司法省の訴訟に関連する証言で「AI機能ごとの個別拒否は、技術的に複雑な作業が必要」と述べたと報じられており、メディア側が自衛策を講じるのは容易ではない。
検索結果の質が向上することは歓迎すべき一方で、情報の出所であるメディアが立ち行かなくなれば、信頼性あるコンテンツそのものが失われかねない。
AI時代における情報の「供給と対価」の在り方が、いま改めて問われている。
※AI Mode:Googleが開発した検索体験の一部で、従来のリンク提示に代えて、AIが検索インデックスを参照し直接的な回答を生成・表示する機能。従来型の検索と異なり、ユーザーは他サイトに遷移する必要がない。
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