スペイン大手銀行BBVA、ビットコインとイーサリアム取引サービスの提供承認を取得

3月10日のロイター通信の報道によると、スペイン大手のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)が、スペイン金融規制当局から顧客向けビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)取引サービスの提供承認を得た。
この承認は欧州連合(EU)の暗号資産市場規制(MiCA ※)に基づくもので、欧州金融機関の仮想通貨市場参入が加速する動きとなっている。
数年にわたる規制対応プロセスを経て実現
BBVAによる暗号資産取引サービスの提供は、長期間にわたる準備と規制当局との協議の末に実現したものだ。BBVAは2020年頃から規制当局の承認取得に向けて動いており、その間にも暗号資産市場への参入戦略を進めていた。
参入への動きとして、すでに今年1月には、トルコ市場において暗号資産取引サービスを開始していた。当初はスイスからのサービス提供を計画していたものの、最終的にはスペイン本国での提供が認められることとなった。
今回承認されたサービスでは、顧客はBBVAのプラットフォームを通じてビットコインとイーサリアムという二大仮想通貨の売買が可能になるということだ。
欧州金融大手の仮想通貨市場参入が活発化
BBVAが暗号資産サービス提供の承認を得たことは大きな動きだが、欧州の銀行としては初めてのケースではない。すでにドイツ銀行やフランスのソシエテ・ジェネラルなど、他の欧州大手金融機関も独自の暗号資産関連サービスの展開を進めている。
ドイツ銀行は、ZKsyncとの提携によりイーサリアムロールアップ技術の開発に取り組んでおり、また暗号資産カストディサービス提供のためにTaurusとの協力関係を構築したことが知られている。
ソシエテ・ジェネラルはXRP Ledgerプラットフォーム上でユーロに連動するステーブルコインの発行に着手した。
これらの動きは、各行が暗号資産技術の異なる側面に焦点を当てた戦略を展開していることを示している。
BBVAの承認取得は、EUのMiCA導入後の新たな規制環境下での最初の重要な事例となった。この規制枠組みにより、銀行を含む金融機関は明確なルールのもとで暗号資産サービスを提供できるようになっている。
今後は他の欧州金融機関も追随し、機関投資家や個人顧客向けの暗号資産サービスが拡大していくことが予想される。
最終的には、こうした動きが伝統的な金融システムと暗号資産エコシステムの融合を促進し、金融サービスの多様化と進化をもたらす可能性が高いだろう。
※暗号資産市場規制(MiCA):欧州連合(EU)が制定した、暗号資産の発行や取引、仲介業者に対する規制の枠組み。消費者保護と市場の完全性を確保しつつ、EUにおける暗号資産市場の発展を促進することを目的としている。