ASML株価急騰、CEOはDeepSeekの影響を楽観視
2025年1月29日(現地時間)、オランダの半導体製造装置メーカーASMLの株価が、4.3%上昇した。これは、同社が予想を上回る第4四半期利益を発表したことに加え、CEOがDeepSeekの最新技術がAIチップ需要に悪影響を与えるという懸念を否定したことが要因である。
好調な業績と今後の見通し
ASMLは、世界最先端のAIチップ製造に不可欠な技術を保有しており、EUVリソグラフィー技術を用いた複雑な機械を製造する唯一の企業である。
これらのEUV機械の最新モデルは、1台約4億ドルと高価格だ。ASMLは、これらの機械をTSMCなどのチップメーカーに販売し、TSMCはそれらを用いてNvidiaやAppleなどの大手テクノロジー企業向けのチップを製造している。
ASMLは、1株当たり利益が予想の6.68ユーロを上回る6.85ユーロ、四半期売上高が予想の90億ユーロを上回る92億ユーロであったと発表した。また、第4四半期の新規受注額は予想の35億ユーロの2倍となる70億ユーロを超え、その半分はAIチップ用EUVマシンの受注によるものであることを明らかにした。
さらに、ASMLの2025年第1四半期の売上高見通しも予想を上回り、75億ユーロから80億ユーロの範囲と発表された。
ASMLのCEOであるクリストフ・フーケ氏は、「人工知能の成長は、我々の業界の成長の重要な原動力である」と述べ、AI市場の成長が同社の業績に貢献していることを強調した。
また、中国企業DeepSeekの低コストAIモデルが、既存のAIインフラへの高額投資に疑問を投げかけているという懸念に対し、「AIのコストが下がれば、より多くのアプリケーションが利用できるようになり、結果としてチップ需要の拡大につながる」と述べ、DeepSeekの技術革新が長期的にチップ需要を押し上げるとの見解を示した。
輸出規制と中国市場
米国とオランダが中国への先端半導体輸出規制を強化する中、ASMLの中国事業に対する動向が注目されている。ASMLはこれまでEUVリソグラフィー装置の中国への輸出を許可されていないが、中国への他の装置の売上は近年急増傾向だ。
フーケCEOは、中国事業に対する見通しは変わっていないと述べ、2025年以降は中国での売上が緩やかになり、総売上高の約20%を占めると予想している。
ASMLは、好決算とCEOの強気な発言により、株価が大幅に上昇した。AI市場の成長とDeepSeekなどの技術革新が、ASMLのビジネスチャンスを拡大すると期待されている。また、中国市場における事業展開も、今後の業績に大きく影響を与える可能性がある。
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