暗号屋のエンジニア 伊藤さんにインタビュー | ブロックチェーンの社会実装を目指し、Web3最先端のプロトコルから暗号資産に関する自社プロダクトを開発
今回は、ブロックチェーンの社会実装を目指し、幅広い分野でブロックチェーン関連のプロダクト開発に取り組む「合同会社暗号屋」のエンジニア 伊藤さんにお話を伺いました。
本記事は、ブロックチェーンが実際にどのように活用できるのか、という社会実装に興味がある方に、ぜひ読んでいただきたい内容となっています。
合同会社暗号屋 | エンジニア 伊藤 峻平さん
大学卒業後、2019年4月に電気やガス事業などを行う大手インフラ会社に入社し、営業や社内DXなどを担当。その後、2021年4月に合同会社暗号屋にエンジニアとして入社し、フロントエンドやバックエンド、ブロックチェーン開発を行う。最近では、BizDevや採用、経営に関する業務も担当。
合同会社暗号屋について
2019年2月、代表の紫竹佑騎 氏が合同会社暗号屋(以下、暗号屋)を設立。主に、ブロックチェーン関連の自社プロダクト開発や、受託開発、コンサルティングなどを行う。2020年、暗号資産オートマーケットメーカー「Choja」をリリース。Chojaは、暗号資産CEX(中央集権な取引所)向けオートマーケットメーカーを活用した、分散型流動性供給システム。企業向けのホワイトラベル(OEM)も提供。2021年、福岡県ブロックチェーン補助金の補助事業者に採択。同年、NFT所有者のみが視聴可能なデジタルメディアプロトコル「VWBL」をリリース。VWBLは、所有者のみが視聴可能なNFTを、CDやDVDなどの記憶媒体としてコンテンツ販売する、完全分散型のプロトコル。2022年、IoTデータ取引基盤プロトコル「PTPF」を活用したプロジェクトが、福岡市の実証実験フルサポート事業に採択される(※ぷらっとホーム株式会社、福岡地所株式会社との共同プロジェクト)。そのほか、様々な企業へのアドバイザリーや、ブロックチェーンに関わる受託開発など幅広く事業を展開。
暗号屋 コーポレートサイト https://www.ango-ya.org
暗号屋 公式Twitter https://twitter.com/ango_ya
暗号屋 紫竹代表 Twitter https://twitter.com/79yuuki
暗号屋 公式note https://note.com/ango_ya/
Choja 公式サイト https://choja.org/
PTPF 公式サイト https://ptpf-protocol.org/
VWBL公式サイト https://vwbl-protocol.org/
ブロックチェーンの社会実装を目指し、様々な分野でのユースケースやメリットを示したい
ーーーまず始めに、暗号屋の事業概要について教えてください。
暗号屋では、大きく分けて、「自社事業」と「受託開発」、「テクニカルディレクション・コンサルティング」の三つを軸に事業を行っています。その中でも自社事業は三つあり、まず一つは、暗号資産のオートマーケットメーカー「Choja」の開発を行っています。これは、暗号資産を自動で売買するボットで、DeFiを支えるDEXで重要なAMM(オートマーケットメイク)の技術をあえてCEX(中央集権取引所)に対して逆輸入させたような機能を提供しています。
二つ目は、「PTPF」というIoTデータの取引基盤プロトコルの開発を行っています。これは、デバイスデータを売ったり買ったりできるようなプラットフォームにブロックチェーンを使っています。PTPFを活用したプロジェクトは、福岡県や福岡市から補助事業に採択をいただき、実証実験なども計画中です。
最後の三つ目は、「VWBL(ビュアブル)」というデジタルメディアプロトコルの開発を行っています。これは、NFTを持っている人のみが、中のデータを見ることを可能にするアクセスコントロールのプロトコルです。
ーーー受託開発やコンサルティング事業では、どのような取り組みをされているのでしょうか?
受託開発では、基本的にブロックチェーン関係の案件のみを受けています。例えば、セキュリティトークンプラットフォームの開発や、分散型オラクルの検証、コンソーシアムチェーンの検証などの受託案件を行っています。
コンサルティング事業では、どちらかというと技術コンサルティング寄りのテクニカルディレクションを行っていて、エンタメ系企業から始まり、大手金融企業のブロックチェーンアドバイザー、ReFiなど、幅広い分野でコンサルティングを行っています。
ーーー暗号屋が取り組む事業背景についても教えていただけますか?
暗号屋は、代表の紫竹が2019年に設立した会社です。彼は元々、新卒で株式会社サイバーエージェントに入り、7年くらい勤めた後に、仮想通貨取引所を福岡で立ち上げ、CTOとして活動していました。その時からすでにブロックチェーンの魅力に惹かれ、ブロックチェーンアドバイザーや、業務委託としてブロックチェーン事業に取り組んでいました。そこから次第に案件が増えていき、暗号屋を創業したという経緯です。暗号屋という屋号は怪しさしかありませんが、実はアニメの”電脳コイル”から付けたもので、私たちはブロックチェーンの基礎技術になるクリプト(暗号)の技術集団になるという思いで名付けられています。社名は怪しいですが、社会に対してブロックチェーン技術の使い方や、活用メリットなどを示し、地に足ついたブロックチェーン事業を社会実装していきたいという思いで取り組んでいます。
NFT所有者のみが視聴できるデジタルメディアプロトコル「VWBL(ビュアブル)」を社会実装へ
ーーー暗号屋の事業内容について詳しくお伺いしたいのですが、どのようなプロダクト開発をされているのでしょうか?
暗号屋では様々なプロダクト開発を行っていますが、最近特に、「VWBL」が注目され始めています。VWBLは、NFT所有者のみが視聴できるデジタルメディアプロトコルです。一般的なNFTであれば、その中のデータは、全世界中に公開されています。しかし、誰でもデータが見えるということは、意義や良さもありますが、NFTの所有者からすると、その所有感が薄れてしまうと感じる人もいます。
そこで私たちは、分散型のアクセスコントロールのプロトコルとして、NFTの所有者だけが、中のデータを見ることができる「VWBL」を開発しました。NFTの中のデータを秘匿化することにより、アセットのNFT化など、様々な分野でのユースケースがあると考えています。
ーーー着眼点がとても面白いですね。VWBLは、実際にどのようなところで活用されているのでしょうか?
VWBLが一番最初に導入されたのは、フラワーアーティスト東信氏によるNFTデジタルブーケ専門店「META FLORIST(メタフローリスト)」です。META FLORISTでは、NFTという形でデジタルフラワーを送ることができます。例えば、母の日に、このデジタルフラワーにメッセージを添えて送る際に、そのメッセージ内容をNFT保有者にしか見えないようにすることができます。
詳細はこちら:「暗号屋が提供するNFTプロトコル「VWBL」をフラワーアーティスト東信によるNFTデジタルブーケ専門店「META FLORIST」が採用決定」
また、ほかの活用事例では、株式会社SaveExpatsと業務提携し、医療健康情報の管理においてVWBLを活用できないか検討しています。株式会社SaveExpatsは、自己採血キットによる郵送検査サービスを海外駐在員と家族向けに提供しています。個人の医療データを秘匿化したNFTのやり取りにより、個人情報の管理コストの削減を目指した実証実験となっています。また、個人情報のやり取りを秘匿化したNFTで行うことにより、デジタル上の制約を、紙を使ったリアルでの制約と同じような形で扱うことができる点に大きなメリットがあると考えています。
詳細はこちら:「NFTデジタルメディアプロトコル”VWBL”とSaveExpatsが医療健康情報事業で業務提携!」
さらに、今後、2025年の大阪・関西万博における落合館のコンテンツとして、落合陽一氏率いるサステナブルパビリオン2025による「Mirrored Body™」のNFT技術を用いたデジタルヒューマン型ID基盤に、VWBLを採用いただいております。「Mirrored Body™」は、株式会社サステナブルパビリオン2025(暗号屋の代表 紫竹がCTOに就任)が開発しています。
詳細はこちら:「大阪・関西万博 落合館(※)のコンテンツを制作するサステナブルパビリオン2025、CTOに“web3を牽引する”紫竹佑騎が就任」
ーーー様々な分野で活用されているのですね。他社のプロダクトと比較して、VWBL特有の特徴や、魅力はどのようなところでしょうか?
日本国内では、NFTをトークンゲートにし、アクセスコントロールするプロダクトはいくつかあります。しかし、VWBLのように、プロトコルとして、鍵を分散させてアクセスコントロールするようなものは、おそらくないと思っています。
私たちの強みは、ブロックチェーンの社会実装を一番に考えて、事業に取り組んでいることです。ブロックチェーンに関する自社開発や、受託開発など、分野を超えて幅広く事業展開する中で、ブロックチェーンが実際にどのように社会実装できるかを、実業務として携わることができる点も暗号屋の魅力の一つです。
また、コンサルティング事業において、これまでのブロックチェーン開発の経験や技術力を活かし、事業開発におけるアイディアを一緒につくることから、実際にプロトタイプを開発し運用するところまでを一気通貫してサポートできることも強みだと考えています。
ーーー今後の展望としては、どのような事業展開を考えていますか?
VWBLに関して言えば、2025年の大阪・関西万博が一つの大きな取り組みになるので、まずはそこに注力していきたいと考えています。もちろん万博だけではなく、ほかの分野や事業でも実証実験を進めていきたいと思っています。また、私たちだけでブロックチェーンの社会実装を試みるよりも多くの企業様と共に進めた方が良いので、様々な企業様と共に受託案件やコンサルティングも引き続き取り組んでいければと思います。あとは、海外向けの戦略についても、今後さらに事業展開していきたいと考えています。
リファラルで集まったエンジニアメンバーを主力とするチーム体制
ーーー次に、暗号屋の組織体制や、チームメンバーについてもお伺いしたいと思います。まず、どのようなチームで事業を進められているのでしょうか?
全体では、30〜40人くらいのメンバーがいます。チーム構成の割合は、エンジニアが7割、BizDevが2割、バックオフィスが1割という感じです。
社員は10数名ぐらいで、ほかは業務委託の方です。社員よりも業務委託のメンバーが多く、業務委託でフルタイムで働く人もいれば、副業として働いている人もいます。
ーーー各メンバーの皆さんは、どのような働き方をされているのですか?
会社としてはオフィスは構えておらず、創業当初から完全なフルリモートワーク体制となっています。メンバーは、全国各地にいますが、代表の紫竹は福岡におりますが、ほかのメンバーは東京の方が多いという感じです。
リモートワークは効率的な面もあり良いのですが、デメリットもあると感じています。目に見えない雰囲気のようなものが分かりにくく、例えば、頑張っている人を目にすると、自分も頑張ろうといった熱の伝播のようなものが起きにくいとも思っています。なので、できる限りですが会社のメンバーとは会うようにしていて、オフラインでのコミュニケーションも大事にしています。また、半年に1回総会があり、全メンバーが全国各地から集合して、半年の振り返りや、その次の半期の目標などを話しています。
ーーー伊藤さんご自身についてもお伺いしたいのですが、社内での伊藤さんの役割や、これまでのキャリア経験について教えていただけますか?
私は暗号屋に入るまでは、この業界とは全然関係がない職種で働いていました。大学は文系で、卒業後は電気やガスといった街のインフラの方の大手インフラ会社に入って、営業をしていました。その後、社内のDX化を推進する部署に異動し、そこで初めてITに関する仕事を行いました。最初は何も分からなかったので、ITのことを勉強し始めたところすごく興味が湧き、この分野に進んでみたいと思うようになりました。そんな中、縁あって暗号屋の代表の紫竹と出会い、暗号屋という会社や、紫竹の魅力に惹かれ、転職することを決意しました。
暗号屋に入社してからは、エンジニアとして、フロントエンドやバックエンド、ブロックチェーン開発などを行っています。最近では、BizDevや採用、経営に関することなども行っており、ジェネラルに動くことが増えています。
ーーーメンバーの方の入社経緯や、特徴はどのような感じでしょうか?
暗号屋のメンバーは、代表の紫竹の繋がりからだったりメンバーの紹介だったりリファラルで入社する方が多いです。特徴としてはメガベンチャーで働いていたベテランメンバーもいれば、若くて経験も浅いですが日々Web3に熱狂しているメンバーもいます。もちろん応募から入社する人も何人もいて、中には、学生時代から海外のプロトコル事業にコミットし、凄く稼いでいた超優秀な新卒の方もいます。
ーーー暗号屋の社内で大切にしている考えや、特徴的なカルチャーなどはありますか?
これは会社のバリューの一つですが、「素直で良い人」を大切にしています。どんなに優秀な人でも、「素直で良い人」と思える人でなければ採用はしておらず、そこを優先に考えた組織づくりを目指しています。
ーーー積極的に採用を募集しているポジションはありますか?
現時点では、オープンポジションで募集しています。私たちは、幅広く色々な事業を行っていますので、特に、「事業責任者」のような方がいるといいなと思っています。私たちの事業に興味がある方は、ぜひご連絡をいただければ嬉しいです。
暗号屋のエンジニア 伊藤さんから読者へのメッセージ
ーーー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。
暗号屋は、ブロックチェーン技術がもたらす新しい経済活動を社会実装していくことをミッションとして掲げ、ブロックチェーンに関する様々な事業に取り組んでいます。私たちの取り組みに共感し、一緒にブロックチェーンの社会実装を進めたいという方に、ぜひ来ていただきたいと思っています。
また、これからさらに幅広く事業を行っていきたいと考えておりますので、新規事業ができるチャンスや、事業責任者にもなれるチャンスが多くありますので、興味を持っていただいた方は、気軽にご連絡をいただけると嬉しいです。
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