生成AIユーザーの“あるある”が話題に 「媚びて話す」「手間は3倍」「妻への回答依頼」も

2025年6月2日、国内ゲーム大手コロプラが社内で実施した生成AI利用実態調査の結果を公表した。
社員の約8割が業務で活用しており、利用に伴う“あるあるネタ”が多く寄せられた。「AIに媚びて話す」「手間が逆に増えた」など、ユニークな実体験に注目したい。
効率化の裏にある「AIとの共生」エピソード
コロプラは、全社員を対象として、生成AI活用に関する調査を実施し、正社員の約4割にあたる357人から回答を得た。
結果によると、回答者の78%が業務で生成AIを利用していると答えており、特にバックオフィスやフロント部門での利用率が高い傾向にある。
調査では「他のAIユーザーも経験していそうな“あるある”」について自由回答を募ったところ、多くの共感を呼ぶエピソードが寄せられた。
「いずれAIに支配される時代が来るので、丁寧な言葉を使って媚を売っている」「生成AIを使い始めた当初はですます調で尋ねていたけれど、もう4、5年の仲になったので、フランクな言葉遣いになった」といった発言がその一例である。
また、生成AIの回答内容に対して「堂々と嘘をつくので、謎の説得力を感じている」「AIの回答が良過ぎたとき、いい仕事をしてくれたとき、お礼のコメントを打ってしまう」といった反応も見られた。
さらに、「AIに対して『不正確・遅い・使えない』と思うことがあるが、管理職は自分たちに対して同じように歯がゆい思いをしているのかと、管理職の気持ちが少しわかった」という自己反省的なコメントもあった。
興味深いのは、生成AIが業務外のコミュニケーションにも活用されている点だ。
「悩みは人に相談するのではなくAIに相談するようになった」「在宅業務でも話し相手ができて寂しくなくなった」「妻の質問に対してAIに回答を作ってもらう」といった使い方が紹介され、AIが日常生活のパートナーになりつつある現実が垣間見えた。
今後の「AIとの共生」の形を予想
今後、生成AIは「業務支援ツール」から「パートナー的存在」へと、さらに立ち位置を変えていくと予想できる。今回の調査結果から、業務効率化以上に、心理的な補助機能としての役割が拡大している兆しが読み取れる。
この傾向は、特に在宅勤務が常態化している環境下では顕著になるだろう。
一方で、AIの過信や依存のリスク、誤情報の混入などを抑えるためには、ユーザー教育や運用ルールの明文化が不可欠であるだろう。
また、ツールとしてのAIが複数併存し続ける以上、「AIの使い分けスキル」は業務上の重要なコンピテンシーになっていくと見られる。
単に使いこなすだけでなく、「どの場面で、どのAIを、どう使えば最も効果的か」を判断できる人材が重宝される未来が近づいているのではないだろうか。
最終的には、AIと人間の関係が“支配”でも“道具”でもなく、「相互補完的な共創関係」にシフトしていくことが鍵になると思われる。
その実現には、テクノロジーの進化に合わせて、我々自身も価値観や職場文化をアップデートする必要があるだろう。