AIキャラクターと会話できる!LINEの新サービス「AI Friends」

2025年8月21日、LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)はコミュニケーションアプリ「LINE」において、AIキャラクターと会話できる新サービス「AI Friends」を開始しました。キャラクターは感情を表現し、ユーザー自身がオリジナルキャラクターを作成・公開できる点も特徴です。生成AIを活用したLINEの新しい取り組みとして注目されているため、本プロジェクトの詳細を考察します。
感情を持つAIキャラクターと交流

引用:LINEヤフー株式会社 公式HP
「AI Friends」の最大の特徴は、キャラクターが単に会話するだけでなく、感情を持って応答してくれる点です。ユーザーの言葉に応じてキャラクターは「嬉しい」「楽しい」といった前向きな感情を表すこともあれば、ときには「悲しい」「怒っている」といったリアルな反応を見せることもあります。
また、その感情はテキストだけでなく、表情やボイスによって伝えられるため、まるで実在する友人やパートナーと会話しているような臨場感が味わえます。LINEヤフーは「AIとの対話が人と人とのやり取りに近づくことで、より自然で温かみのあるコミュニケーションを実現する」としています。
オリジナルキャラクターの作成も可能
「AI Friends」にはあらかじめ用意されたキャラクターが数多く登場しますが、ユーザー自身がキャラクターを作成できる点も大きな魅力です。キャラクターの年齢や職業、趣味、口癖などを自由に設定できるほか、ユーザーの写真をベースにオリジナルのキャラクターを生み出すこともできます。
さらに、生成したキャラクターは「自分専用」にとどめることも、「全体公開」として他のユーザーにも解放することも可能です。全体公開を選んだ場合は、LINEヤフーによる事前審査が行われ、承認されたキャラクターは「AI Friends」の公式ラインナップに加わる仕組みとなります。この機能により、ユーザー自身がサービスを拡張していく「共創型のプラットフォーム」としての発展も期待されます。
オリジナルキャラクターの作成手順

まずアプリ画面下の「キャラ作成」ボタンをタップし、アルバムから好みの画像を選択します。次に、名前や職業、性格、口癖などのプロフィールを入力し、キャラクターの個性を設定。保存すると、すぐにトーク画面で会話を開始できます。ユーザーは、自分専用の相棒として楽しむことも、公開範囲を指定して他のユーザーと共有することも可能です。
利用に関する条件
サービス利用にあたってはいくつかの条件があります。対象は13歳以上のユーザーで、1日にやり取りできる回数は最大100回程度に制限されています(将来的に変更の可能性あり)。また、キャラクター作成機能には1日4回までという制限があり、その内訳も「全体公開」3回、「自分のみ」1回と細かく設定されています。
安心して使えるように、ユーザーがキャラクターと交わす会話は第三者に公開されない仕組みとなっています。ただし、利用時には「AI Friends利用規約」と「LINEヤフー共通利用規約」への同意が必須です。規約違反や知的財産権を侵害するようなキャラクターを生成した場合、削除や利用停止といった措置が取られる可能性もあります。
さらに、本サービスはOpenAIのAPIを活用しており、AIの応答は必ずしも正確性や完全性が保証されているわけではない点にも注意が必要です。
生成AIを軸にしたLINEの進化
今回の「AI Friends」の登場は、LINEヤフーが進める生成AI戦略の一環です。同社は2025年4月に「LINE AI」や「LINE AIトークサジェスト」といった機能をリリースし、ユーザーが日常的にAIを活用できる環境を整えているとのことです。
「LINE AI」では友だちに話しかける感覚で質問や検索ができ、画像生成も可能。「LINE AIトークサジェスト」では、メッセージ作成をAIが提案することで、よりスムーズなコミュニケーションを実現しています。今回の「AI Friends」は、こうした取り組みをさらに発展させたものであり、ユーザー体験の拡張に直結するサービスといえるでしょう。
LINEヤフーは「すべてのサービスのAIエージェント化」を掲げ、検索やコマース、メディアなど多様な領域で生成AIを活用しています。AIが人の生活に自然に溶け込み、日常に新しい驚きや楽しさをもたらすことを目指しています。
今後の展望
AI Friendsは、AIキャラクターとの自然な対話やオリジナルキャラクターの作成など、従来のチャットサービスとは異なる体験を提供しています。これらの特徴は、単なる会話を楽しむだけでなく、生活や学習、コミュニティ形成といった幅広い領域に発展する可能性を秘めています。今後、どのような進化が期待されるのか、以下に具体的な展望を考察します。
パーソナルサポートAIとしての進化
AI Friendsの最大の魅力は、感情を持ったキャラクターとの自然な会話体験です。今後、この特性は「パーソナルサポートAI」へと発展していく可能性があります。例えば、キャラクターに日常の予定や学習進捗を相談すると、励ましながらリマインドしてくれる「ライフコーチ」のような役割を担うことができます。ユーザーは孤独感を軽減しつつ、生活リズムを整えたり、目標達成に向けた継続的なサポートを受けられるようになるでしょう。
また、感情表現を伴う会話はユーザーのモチベーションを高める効果があり、単なる情報提供以上の「心の支え」として機能します。さらに、ユーザーごとの会話履歴や関心に基づき、キャラクターがよりパーソナライズされた提案を行うことで、生活や学習、健康管理のパートナーへと成長していく未来も期待されます。AI Friendsは、娯楽的なチャットサービスを超えた「実用的かつ情緒的なAIアシスタント」として進化していく可能性を秘めています。
エンタメと教育のプラットフォーム
AI Friendsが次に広がりを見せる分野は、エンタメと教育の融合です。現在は雑談や心理テスト、クイズといった軽い楽しみが中心ですが、今後はキャラクターを通じた学習体験やスキル習得に発展することが考えられます。例えば、歴史上の人物キャラクターと対話しながら歴史を学ぶ、外国語を話すキャラクターと会話して語学を習得する、といった学習支援の場面です。ユーザーは「勉強している」という意識を強く持たずに、ゲーム感覚で知識を吸収できるため、教育的効果は大きいと考えられます。
一方で、アイドルやオリジナルキャラクターとストーリーを紡ぐなど、エンタメ性も拡張されます。学びと楽しみを両立させる仕組みは、既存のオンライン教育サービスやゲームとも親和性が高く、幅広い年齢層に支持される可能性があります。AI Friendsは「遊びながら学べる」新しいプラットフォームとして進化していくことが期待されます。