セールスフォース、「Agentforce for Sales」を日本語提供開始 営業支援に自律型AIエージェントが本格参入

2025年4月3日、セールスフォース・ジャパンは自律型AIエージェントを活用した営業支援ツール「Agentforce for Sales」の日本語提供を開始した。
営業活動の反復作業を軽減し、業務の質的向上を支援することが狙いだ。
AIエージェントが営業現場を変える
営業現場では、リード管理、資料作成、日程調整といった定型業務に多くの時間が費やされる傾向がある。こうした反復作業が、営業担当者の本来の目的である商談や関係構築の時間を圧迫してきたのが実情だ。
セールスフォース・ジャパンが新たに日本語で提供を始めた「Agentforce for Sales」は、そうした課題に対する解決策となるサービスだ。
本ツールには二つの主要機能が実装されている。
一つは「Agentforce セールスディベロップメント」である。
AIエージェントが顧客からの質問に自動でメール返信し、日程調整などのやりとりも全自動で行う仕組みだ。
反論や疑問への対応も担うため、インバウンドリードを24時間体制でナーチャリングする環境が整う。
もう一つは「Agentforce セールスコーチング」だ。
これは営業担当者に対する教育サービスで、AIエージェントとのロールプレイを通じて実践的な対話トレーニングを受けられる。
さらにCRM(※)のデータと連動し、成約率や失注率に基づいたフィードバックがリアルタイムで提供されるため、経験に頼らない客観的なスキル向上が可能になる。
導入は、セールスフォースが提供する各ライセンスにアドオンを加える形式で、1会話あたり240円から利用できる。
ボリュームディスカウントも設定されており、大規模チームでの導入にも現実的な価格設計といえる。
※CRM(Customer Relationship Management):
顧客との関係を管理・強化するためのシステムで、営業活動やサポート対応履歴などを一元管理する。営業支援において中核的役割を担う。
日本市場におけるエージェントAIの可能性
これまでのAIサービスよりも、より自律的にタスクを実行できるAIモデルやサービスは、「エージェントAI」と呼ばれ、近年AI業界で話題を集めている。
セールスフォースがエージェントAIを導入したことで、日本でも営業分野で本格的なエージェントAIが使用できることになる。
人材不足という問題に直面している日本の労働市場では、「Sales Agent」のようなエージェントAIは画期的な解決策になりうるだろう。
一方で、自律性が高いぶん、エージェントAIが想定外の勝手な動きをする可能性がリスクとなる。
現段階でどの程度のリスクが存在しているかのデータが不足しているうえ、AIに仕事を任せる心理的な障壁も存在しており、今後の課題となるだろう。
ただ、長期的に見れば、こうしたAIが組織内で一種の「仮想同僚」として定着する未来も想定される。
人間とAIが役割を分担し、共同で戦略立案や市場分析を行うといった働き方が主流になれば、営業という職能そのものの定義が再編されることになるだろう。