在米中国大使館、DeepSeekは米国AI企業と競合せず　「補完的存在」と声明

在米中国大使館が、中国のAI企業であるDeepSeekが米国のAI企業と競合するのではなく、むしろ「補完的な存在」であるとする声明を発表していたことが、2025年2月28日に分かった。

この声明は、DeepSeekがAI開発コストを大幅に削減し、OpenAIやGoogle DeepMindなどの既存のAIリーダーを補完する役割を果たしているとの見解を示している。

一方、米国側からはDeepSeekの急成長に対する警戒感が高まっており、AI業界における新たな動向が注目されている。

DeepSeekの位置付けと特徴

DeepSeekは中国・杭州市で設立された新興AI企業であり、創業者は元ByteDanceのAI研究者である趙永剛（Zhao Yonggang）氏である。

同社は、AIモデルの開発コストを大幅に削減し、OpenAIやGoogle DeepMindなどの既存のAIリーダーを補完する役割を果たしているとされる。
具体的には、DeepSeekのAIモデルは、OpenAIなどの米国企業に比べて非常に低価格で提供されており、その価格は20分の1から40分の1と見積もられている。

このコスト削減は、DeepSeekの急成長を支える重要な要因となっている。中国政府もDeepSeekの成功を称賛し、AIの開発コストを大幅に削減したと評価している。

特に、DeepSeekが開発したAIモデルは、テクノロジー業界において注目を集めており、習近平国家主席が主催したシンポジウムでも高く評価された。

米国の反応と今後の展望

DeepSeekの急成長に対し、米国側からは警戒感が高まっている。
特に、米国政府は、中国がAI技術で優位性を追求することが、競争において決定的な違いを生むと警告している。

また、Google DeepMindのCEOは、DeepSeekのモデルは印象的であるが、汎用人工知能（AGI）への新たな科学的進歩は見られないと述べており、DeepSeekの技術がまだAGIの開発には至っていないことを示唆している。

一方で、中国大使館は、AI企業が独自の力を発揮することで、より良いソリューションを提供できるとし、米国企業との協力の可能性を示唆している。

この姿勢は、長期的な競争よりも協力を重視する中国の戦略を反映していると考えられる。

DeepSeekの登場により、AI業界における新たなダイナミクスが生まれる可能性があり、今後の動向が注目される。