国内AIサーバーの電力容量、2024年から2028年にかけて約3.2倍増加　IDC予測

IDC Japanは2025年2月27日、国内データセンター内のAIサーバーが必要とする電力容量の試算結果を発表した。2024年末時点で合計67MWで、2024年からの4年間で約3.2倍に増大し、2028年末には212MWに達すると予測されている。この増加は、AI技術の急速な普及やクラウドサービスの拡大、政府の支援策などが要因と考えられる。

AI技術の普及とクラウドサービスの拡大が電力需要を押し上げる

AI技術は、機械学習やディープラーニングといった分野で急速に進展し、多くの業界で導入が進んでいる。これに伴い、大量のデータ処理が必要となり、AIサーバーの設置が加速している。特に、生成AIの利用に関心が高まっており、AIサーバー向けの電力容量は2027年末時点で2024年末の約1.5倍になると予測されている。 

さらに、大規模なクラウドサービスプロバイダーがAIサーバーを積極的に導入している。これにより、データセンター全体の電力容量も増加傾向にある。IDC Japanの予測では、国内データセンターの電力容量は2024年末の2365.8MVAから2029年末には4499.6MVAに増加し、年間平均成長率は13.7％とされている。

政府の支援と冷却技術の進化がAIサーバー需要を後押し

日本政府は、AI技術の導入を促進するため、さまざまな補助金プログラムを実施している。例えば、経済産業省が主催する「AI導入支援事業」では、AIを活用した事業プロセスの改善や新たなビジネスモデルの構築に向けたプロジェクトに対して、費用の一部を補助する制度が設けられている。 

また、AIサーバーは高い消費電力と発熱量を伴うため、効率的な冷却技術の導入が求められるだろう。液体冷却方式は、従来の空冷方式に比べて冷却効率が高く、AIサーバーの安定稼働と電力消費の抑制に寄与すると期待されている。

国内AIサーバーの電力需要が増加することで、AI技術が普及し、さまざまな業界における業務効率の向上や新たなビジネスモデルの創出に貢献することが期待される。また、政府の支援策により、AI導入にかかるコストが軽減されることも期待され、中小企業を含めた全体的な経済成長に寄与する可能性がある。

一方で、電力需要の急増は、持続可能性の観点から懸念される要素も含んでいる。特に、電力供給の確保が難しくなる場合、エネルギーコストの上昇や環境への負荷が増大する恐れがある。さらに、AIサーバーの高い消費電力と発熱量は、冷却技術の導入を必要とし、これが新たなコストを生む要因となる。

今後、国内のAIサーバーの電力需要は増加傾向が続くと見込まれる。AI技術の進化とともに、データ処理の需要がさらに高まることが予想されるため、データセンターの運営者は、電力供給の確保や冷却技術の導入に注力する必要があるだろう。政府の支援策も継続される見込みであり、これがAI導入の加速を後押しする要因になると考えられる。