高知・仁淀ブルーの混雑緩和が本格稼働　AIが駐車状況を最適化

2025年2月26日、NTTコミュニケーションズ株式会社は、高知県の人気観光地「仁淀ブルー」エリアにおいて、混雑緩和を狙った環境整備を完了させたと発表した。
AI技術を活用した駐車スペース検知システムも導入されており、今後の観光動向に注目が集まっている。

AI駐車検知と地域連携で観光体験が向上

高知県の仁淀川流域は透き通る青色の水面が特徴的で、通称「仁淀ブルー」と呼ばれてきた。
近年はこの美景を求める観光客が急増し、休日を中心に駐車場不足やトイレの混雑が深刻化していた。

それに対応するため、観光庁が主導する「オーバーツーリズム（※）の未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」によって支援が行われ、いの町や程野地区自然美化維持協議会、NTTコミュニケーションズなど多方面との協力体制が築かれた。

混雑の最も大きな要因となっていた駐車場問題への対策として、LEDビジョンを活用した空きスペース情報のリアルタイム表示が開始された。AIカメラを組み込んだ解析システムも稼働しており、駐車状況を瞬時に把握できる環境が整えられた。
訪問客は特定のエリアに集中しすぎることなく、空きがある場所を選択しやすくなるだろう。

今後の観光業におけるAI活用の展望

2025年度以降は、AIカメラの車両流入データを活用した渋滞予測が実施される予定で、持続可能な観光地を目指す取り組みは一段と発展すると考えられる。

AIの活用は駐車管理にとどまらず、より広範な観光体験の最適化へと発展していくと考えられる。たとえば、駐車場の空き状況だけでなく、各観光スポットの混雑状況もリアルタイムで解析し、訪問者に最適なルートを提案するシステムが導入される可能性がある。
これにより、観光客の流れが分散し、より持続可能な観光地運営が実現できるだろう。

また、AIによる渋滞予測の精度が向上すれば、ピーク時の入場制限や予約制の導入など、さらなる対策が講じられるかもしれない。これにより、観光客の体験価値を向上させると同時に、地域住民の生活への影響も最小限に抑えることが可能になるだろう。

ただし、AIの活用が進むほど、技術依存のリスクも高まる。
システム障害が発生した際のバックアップ体制や、技術導入の恩恵を受けにくい人々への配慮も欠かせない。特に、高齢者やデジタル技術に不慣れな層に対しては、アナログな案内方法と併用することが求められるだろう。

総じて、AIの導入は観光地の利便性を高めるが、それが持続可能な観光へと直結するとは限らない。地域の文化や自然環境を守りつつ、技術の利点を最大限に活かすバランスが重要になってくるだろう。

※ オーバーツーリズム：観光客の過剰集中で環境や住民生活に悪影響が生じる状況を指す。

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