生成AIを悪用した中高生3人、楽天モバイルへの不正アクセスで逮捕

14歳から16歳の中高生3人が、生成AIを悪用して楽天モバイルに不正アクセスし、1000件以上の通信回線を入手・転売したとして逮捕されたことが、2025年2月27日に報じられた。未成年者による大規模なサイバー犯罪として、社会的関心が高まっている。

未成年者による大規模な不正アクセスの手口と逮捕の経緯

逮捕されたのは、滋賀県米原市の中学3年生（15歳）、岐阜県大垣市の高校1年生（16歳）、東京都立川市の中学3年生（14歳）の男子生徒である。彼らはオンラインゲームを通じて知り合い、通信アプリ「テレグラム」で連絡を取り合っていた。

捜査関係者によれば、彼らは20億件以上のIDとパスワードのセットを購入し、自作のプログラムを用いて楽天モバイルのシステムに不正アクセスを行ったという。
このプログラムは、IDとパスワードを自動的に入力し、認証されるとシステムにログインできるもので、大垣市の高校生が主に作成し、米原市の中学生も一部関与していた。

警視庁の調査によれば、彼らは不正に入手した通信回線をテレグラムを通じて複数の人物に転売し、約750万円相当の暗号資産を得ていたとされる。警視庁のサイバー犯罪対策課が中心となり、ログの解析や資金の流れを追跡するなどして、今回の逮捕に至った。

生成AIの悪用が示すサイバー犯罪の新たな脅威と社会的影響

今回の事件では、生成AIが不正アクセスの手口として利用された点が注目される。

生成AIの「大量のデータを学習し、新たなデータやコンテンツを生成する技術」を悪用することで、未成年者でも高度なサイバー攻撃を実行できる可能性が示された。

生成AIの技術は、データ処理や情報生成の効率を大幅に向上させる可能性を秘めている。
たとえば、企業では顧客データを分析してマーケティング戦略を最適化するために活用でき、教育分野でも個別学習の支援や教材の自動生成など多岐にわたる応用が期待されている。

一方で、今回の事件のように、未成年者がこの技術を利用してサイバー犯罪を行う事例が増加する可能性がある。特に、情報モラル教育が不十分な場合、若者が簡単に不正行為に手を染める危険性が高まる。

今後、生成AIの技術が進化する中で、サイバー犯罪の手口もますます高度化すると予想される。特に、未成年者による犯罪が増加する傾向にあるため、教育機関や家庭での情報モラル教育の強化が急務である。
具体的には、学校教育においてサイバーセキュリティや倫理に関するカリキュラムを導入することが求められるだろう。

また、企業側もセキュリティ対策を見直し、多要素認証やリアルタイム監視システムの導入を進める必要がある。これにより、システムの防御力を高め、未然に犯罪を防ぐ体制を整えることが重要である。

生成AIの健全な利用を実現するために、社会全体での意識向上が期待される。