トランプ大統領、AI生成の「ガザリゾート」動画を公開

米時間2025年2月26日、ドナルド・トランプ大統領は自身のSNSで、パレスチナ自治区ガザ地区をリゾート地として再建する構想を描いたAI生成の動画を公開した。

この動画には、ガザが高層ビルやビーチリゾートに変貌し、トランプ氏やイーロン・マスク氏、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が登場するシーンが含まれている。

この投稿は、国際社会や中東諸国からの批判を招いている。

「トランプ・ガザ」の詳細と国際的な反応

トランプ大統領が公開した約30秒のAI生成動画では、戦争で荒廃したガザ地区が近代的なリゾート地へと変貌する様子が描かれている。具体的には、瓦礫の山が高層ビルや豪華なビーチに変わり、子供たちが砂浜で遊ぶシーンが映し出される。

さらに、街中にはトランプ氏の黄金の巨像が立ち並び、実業家のイーロン・マスク氏がフムスを楽しむ場面や、トランプ氏とネタニヤフ首相がプールサイドでくつろぐシーンも含まれている。背景には「トランプ・ガザがついにここに！」と歌う陽気な音楽が流れ、全体としてガザ地区の華やかな未来像を強調している。

この動画は、トランプ大統領が以前から提唱しているガザ地区の再建計画の一環として公開されたものである。彼は、ガザを「中東のリビエラ」として再開発し、米国がこの地域を「所有」する構想を持っている。

しかし、この計画はガザに住む約220万人のパレスチナ人を他地域へ再定住させることを含んでおり、国際社会や中東諸国から「民族浄化」との批判を受けている。
特に、パレスチナ自治政府や周辺アラブ諸国は、この提案に強く反発しており、現地のパレスチナ人も自身の土地を離れることに対する強い抵抗感を示している。 

トランプ氏の提案は、ガザ地区の現状を無視した非現実的なものであるとの指摘もあり、実現可能性については疑問視されている。さらに、AI技術を用いて理想的な未来像を描く手法に対しても、現実との乖離が大きいとの批判が上がっている。

この動画の公開により、ガザ地区の再建問題や中東和平プロセスに対する関心が再び高まっている。

今後の展望

トランプ氏の提案は、国際社会や中東諸国からの強い反発を受けており、実現の可能性は低いだろう。

特に、パレスチナ自治政府や周辺アラブ諸国は、この計画を「重大な国際法違反」として非難している。

また、ガザ地区の住民も自身の土地を離れることに強い抵抗感を示しており、計画の受け入れは難しい状況だ。さらに、AI技術を用いたプロモーション手法に対する批判も高まっており、今後の政治的・外交的な影響が懸念されている。

このような状況から、トランプ氏のガザ地区再建計画が具体的な行動に移される可能性は低く、むしろ中東和平プロセスにおける新たな緊張を引き起こす要因となる可能性がある。