トランプ大統領、「ゴールドカード」構想を発表　500万ドルで米永住権を提供

トランプ米大統領は2025年2月26日、外国人投資家向けの新たな移民制度「ゴールドカード」構想を発表した。この制度では、500万ドル（約7億5000万円）を支払うことで米国の永住権を取得し、将来的な市民権への道も開かれるという。従来のEB-5プログラムに代わるものであり、財政赤字の削減や富裕層の誘致を目的としている。議会の承認を必要とせず実施可能とされるが、その影響や今後の展開が注目される。

ゴールドカード構想の概要と背景

「ゴールドカード」の制度は、特に富裕層を対象とし、トランプ氏は「優れた人物の移民を促進する」と強調した。

この構想は、1990年に導入されたEB-5プログラム（※1）に代わるものとして打ち出された。EB-5プログラムでは、外国人投資家が米国内で一定額以上を投資し、雇用を創出することで永住権を取得できる仕組みだった。しかし、不正や詐欺が多発し、批判を受けていた経緯がある。
商務長官のハワード・ルトニック氏は、「EB-5プログラムは機能していない」と指摘し、新制度の方が財政的に有益であると説明した。

トランプ政権の移民政策は一貫して厳格な姿勢を取ってきたが、一方で合法的な移民の受け入れには柔軟な方針を示している。
今回のゴールドカード構想もその一環と考えられ、富裕層を対象とすることで移民政策のバランスを取ろうとする狙いがある。

※1 EB-5プログラム：1990年に導入された外国人投資家向け移民制度。一定額以上の投資と雇用創出を条件に永住権を付与するが、不正利用が多発し、近年は厳格化されていた。

経済的影響と今後の展望

ゴールドカード構想の導入により、米国政府は直接500万ドルの資金を得ることができる。ルトニック商務長官は、この制度が財政赤字の削減に貢献すると述べた。
また、富裕層の投資を促進することで、米国経済にプラスの影響を与える可能性がある。

国際的な反応にも注目が集まっている。特にロシアのオリガルヒ（※2）の関心が高いとされ、トランプ大統領自身も「優れたロシア人投資家を知っている」と発言している。
この発言に対し、欧米の一部では、対ロ制裁との整合性を疑問視する声も上がっている。

トランプ氏は、この新制度の実施には議会の承認は不要と考えている。しかし、移民政策に関する議会の動向や、今後の規制整備がどのように進められるかが課題となる。
また、審査基準や申請プロセスの詳細はまだ明らかにされていないため、今後の発表が注視される。

※2 オリガルヒ：ロシアの富裕層・実業家の総称。政治的な影響力を持つ者も多く、特にプーチン政権との関係が取り沙汰されることがある。

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