中国発DeepSeek、次世代AIモデル「R2」開発を加速か　競争激化する市場での影響は

2025年2月25日、中国の新興企業DeepSeek（ディープシーク）が、次期生成AIモデル「R2」の開発を急いでいることが情報筋により明らかになった。同社は2025年1月に低コストながら高性能なAIモデル「R1」を発表し、業界を驚かせたばかりだ。情報筋によると、「R2」は当初5月上旬のリリース予定だったが、できるだけ早く市場に投入する方針に変更されているとのことである。

ディープシークの戦略と「R2」開発の進捗

ディープシークはAI技術の開発に特化した企業であり、創業者の梁文鋒氏は通信工学の学位を持ち、研究部門を運営した経験がある。
同社は管理をフラットな形で行い、従業員に裁量を与えながら協力的な環境を構築している。AIモデルの質を高めることに集中し、アプリ開発への投資は最小限に抑える方針を取っている。

ディープシークが1月に発表した「R1」は、米半導体大手エヌビディアの比較的性能が劣る半導体を使用しながらも、他社の数千億ドル規模のモデルに匹敵する性能を実現した。この低コスト・高性能なAIモデルは、競争が激しい市場において大きな話題となった。
R1の成功を受け、ディープシークは「R2」の開発を急いでいるという。

「R2」は、英語以外の言語でも推論が可能となる見込みであり、コーディングの改良も進められているそうだ。
当初5月上旬のリリースが予定されていたが、できるだけ早く市場に投入したいという意向があるとみられている。

市場への影響とディープシークの立ち位置

ディープシークのAIモデル開発は、競合他社にとって脅威となっている。特に、OpenAIなどの米国勢は数千億ドル規模の投資を行っているにもかかわらず、ディープシークの「R1」はそれに匹敵する性能を持ちながら、コストが20分の1から40分の1という点で大きな優位性を持つ。こうした背景から、米国政府はAI分野でのリーダーシップを維持するために警戒を強めていると考えられる。

ディープシークの成功の裏には、親会社であるハイフライヤー・キャピタル・マネジメントの長期的な投資がある。同社は収益の70%をAI研究に再投資し、スーパーコンピューティングAIクラスター（※）に多額の資金を投入しているという。

また、中国政府もディープシークの技術を高く評価しており、国のAI戦略の一環として同社を支援する姿勢を見せている。政府はディープシークの技術が中国のAI分野でのリーダーシップ確立に貢献すると考えており、今後の発展が期待されている。

「R2」のリリースが成功すれば、ディープシークは生成AI市場においてさらに強い影響力を持つことになるだろう。競争が激化する中、ディープシークがどのように市場での地位を確立していくのか、今後の動向が注目される。

※スーパーコンピューティングAIクラスター：大規模なデータ処理を行うために複数のスーパーコンピュータを連携させたシステム。