トヨタのウーブンシティが初公開　AIが支える未来のモビリティ実験都市

トヨタのウーブンシティが初公開　AIが支える未来のモビリティ実験都市

2025年2月22日、トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設中の「ウーブン・シティ」の一部が初公開された。
この都市は、自動運転技術や地下物流システムの実証実験を行う場として機能する予定で、AIを活用した未来のモビリティ開発に寄与すると期待されている。自動運転車の専用道路やインフラ整備が進められている中で、新たな技術革新の拠点となる可能性が高い。

ウーブンシティが実証する次世代の交通技術

ウーブンシティは、トヨタが掲げる「未来のモビリティ社会」の実現に向けた実験都市だ。

自動運転技術の検証を目的に設計されており、一般車両の走行が制限される代わりに、自動運転車のみが通行できる専用エリアが整備されている。これにより、従来の道路インフラとは異なる実験が可能となる見込みだ。

都市内は地下でつながっており、物流を地上から切り離すことで交通渋滞の軽減と効率化を図る。AIによる最適な配送ルートの計算や、無人搬送技術の開発、エネルギー供給や都市管理システムの効率化などにつながるだろう。
また、リアルタイムで車両の動きを最適化できるAI信号機が都市内に組み込まれており、交通状況を解析できる。これにより、安全性と効率性を両立させた交通システムが確立できるのではないかと期待されている。

ウーブンシティの中心には「カケザン・インベンションハブ（※）」と呼ばれる研究開発拠点が設置されている。この施設では、企業や研究者が協力し、新たなモビリティ技術の開発を進める予定だ。

特に、AIを活用した未来の車両技術が重点的に研究されており、エネルギー効率の向上や自動運転アルゴリズムの高度化が目標とされている。

このハブは住民と開発者の交流の場としても機能する予定だ。

ウーブンシティでは、2025年秋から本格的な実証実験が始まる予定で、約100人の住民が生活を開始する。ユーザーが実際に生活しながら技術を試せることは、「AIを活用した未来のモビリティ実現」に向けた重要なステップとなるだろう。

※インベンションハブ

新技術の共同開発を促進する拠点のこと。異業種の企業や研究者が集まり、実証実験を通じて革新的なアイデアを生み出す場として機能する。

今後の展望

ウーブンシティの実証結果を実際の社会実装につなげるためには、多くの課題が伴うだろう。
ウーブンシティ内で成功した技術が、他の都市でもそのまま適用できるとは限らないため、適応性の高いシステム設計が求められる。また、法規制や倫理的な側面にも対応しながら、安全性と利便性を両立させる必要がある。

課題はあるものの、長期的には、ウーブンシティの結果が自動運転社会の実現を加速させる一因となるだろう。今後の展開次第では、他の国や地域にも同様の実証都市が誕生し、モビリティ技術のグローバルな標準化につながる可能性もある。