上下水道の老朽化対策に衛星とAIを活用へ 政府が全国導入を検討
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2025年2月20日、日本政府が上下水道の老朽化対策に、人工衛星とAIなどの新技術を活用する方針を正式に示した。埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故を受け、紙台帳で管理されてきた施設情報のデジタル化や広域連携の強化を急ぐ見通しである。
道路陥没が示すインフラの危機と新技術導入
2025年1月28日に埼玉県八潮市での道路陥没事故は、老朽化した上下水道の脆弱性を浮き彫りにした。政府は、事故直後からデジタル行財政改革会議(※)を開き、インフラ維持の課題を再検討し始めていた。
その結果、人工衛星の高精度画像や音波データをAIで解析し、漏水や損傷を迅速に見つける仕組みを導入する方針が示された。これにより、人力点検では見落とされがちなリスクをいち早く把握し、補修の優先順位を判断しやすくできると考えられる。
従来の人力点検は経験に頼りがちであったが、AIが管路や地形、破損履歴を学習することで、人的資源に乏しい自治体でも一定水準の維持管理を可能にすることが今回の狙いだ。
石破茂首相は、こうしたデジタル技術を3年ほどで全国展開する意向を表明している。
加えて、3月末までに「すぐに導入可能なデジタル技術のカタログ」を作成し、導入が遅れている自治体を支援する方針も固まったという。
データの一元管理と住民への情報公開がもたらす効果
上下水道施設に関する情報が紙台帳で管理されている自治体は、事故や災害時に的確な対応を取るうえで不利といえる。
そこで政府は、配管の更新履歴や水道事業の収支などを包括的にデジタル化し、関係機関が瞬時にアクセスできる仕組みを構築しようとしている。これにより、大規模災害や施設損傷が起きた場合でも、早期の復旧計画を立てやすくなるだけでなく、日常的なコスト分析にも役立つとみられる。
さらに、水道事業の状況や管路の更新予定を住民にオープンにする取り組みも進められており、老朽化のリスクを地域で共有する意味合いが強まる。国は、こうした情報の公開を通じて住民の理解を深め、インフラ整備の財源確保や持続可能な運営に協力を得たい考えだ。
八潮市の事故を機に浮上したインフラの不安を早期に払拭するため、政府は多角的な施策を急ピッチで進める構えである。
※デジタル行財政改革会議:行政や公共インフラ管理におけるデジタル化を検討する政府主導の会議体。財政改革や業務効率化の観点から、IT技術の導入や官民連携の具体策を議論する場として機能している。
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