台湾・鴻海、第1四半期売上高が過去最高 AI関連製品の需要が業績を牽引

2025年4月5日、台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)は2025年第1四半期の売上高が過去最高を記録したと発表した。背景には、AI関連製品への旺盛な需要がある。クラウドやネットワーク分野が売上を牽引し、今後も成長が見込まれる一方、地政学的リスクも指摘されている。
AIサーバー需要が追い風、売上高は前年同期比24.2%増の1兆6400億台湾ドルに
台湾の電子機器大手・鴻海精密工業は、2025年第1四半期における売上高が過去最高の1兆6400億台湾ドル(約495億ドル)に達したと明らかにした。この数値は前年同期比で24.2%の増加を示しており、AI関連製品の需要拡大が主な要因とされる。
特に成長が顕著だったのはクラウドおよびネットワーク関連製品部門で、同社が手がけるAIサーバーやデータセンター向けの機器が需要を取り込んだ形だ。3月単月の売上高も5521億台湾ドルに達し、前年同月比で23.4%の伸びを見せた。
一方で、AppleのiPhoneを含むスマート・コンシューマー・エレクトロニクス部門については、「ほぼ横ばい」と説明しており、成長の主軸がAIやクラウド関連にシフトしつつある現状がうかがえる。
今回の結果は、アナリストの予想(1兆6800億台湾ドル)を若干下回ったものの、市場全体では好意的に受け止められている。AI市場の拡大トレンドを背景に、鴻海の今後の成長余地に期待が高まっている。
政治情勢への警戒感も 今後の成長とリスク
鴻海は今後についても強気の見通しを示している。
AI技術を中核とする製品群への需要は引き続き高水準で推移すると予測されており、クラウドインフラやネットワーク機器の拡張に伴って、同社の受注も増加が見込まれるだろう。
一方で、同社は世界の政治・経済情勢への注意喚起も忘れていないようだ。
特に、米中関係や米国の関税政策が今後の収益に影響を及ぼす可能性があるとの見解を示している。台湾企業としての地理的・政治的立場も、引き続きリスク要因として注視されている。
AIサーバーなどの先進分野での競争力が高くなる一方で、外的リスクをどこまでヘッジできるかがカギになるだろう。
AppleやNvidiaといったパートナー企業との関係が強固であることは有利ではあるが、それに依存しすぎない多角的な展開が求められるだろう。