ベッセント財務長官、株価下落の要因を中国AIに帰属

2025年4月4日、米国のベッセント財務長官がインタビューにて、最近の株式市場の下落は中国のAI企業「ディープシーク」の技術発表が主要因であるとの見解を示した。トランプ前大統領の政策に原因があるという見方を否定したことで注目を集めている。
中国発AIモデルが市場に衝撃 トランプ政策との因果関係を否定
ベッセント米財務長官は保守派コメンテーターであるタッカー・カールソン氏とのインタビューにおいて、直近の株価下落の原因について「中国ディープシークによるAIモデル発表が引き金となった」と明言した。
ディープシーク登場により、米国の主要テクノロジー企業を中心に株価が大きく動いたことが背景にあるという。
特にディープシークが開発した低コスト・高性能なAIモデルが米国企業の競争優位を揺るがす要因として浮上した。
市場ではこの技術の台頭によりエヌビディアの株価が急落し、時価総額が1日で6000億ドル近く失われたとされている。またS&P500も短期的には下落に転じたがその後は持ち直し、過去最高値を更新するなどボラティリティが高まっている状況だ。
ベッセント氏はこの動きについて「トランプ氏の経済政策による下落とは考えていない」と主張し、「株式市場の反応はテクノロジー分野の競争構造の変化を反映したものだ」との見解を示した。トランプ政権の関税引き上げ発表を受けての市場の急変に対しても政権当局者は冷静な姿勢を維持しており、「強いドル」政策は継続されているという。
市場の注視点はAI技術の進化とトランプ政権の経済対応
今回の事例は、AI技術の進化が金融市場に与える影響力の大きさを改めて示すものとなったといえるだろう。
とりわけAIがコスト構造や業界勢力図を変化させる可能性が高まる中で、投資家の関心は単なる政治的要因だけでなく、テクノロジー動向そのものにシフトしつつあると思われる。
こうした動きが、短期的な反応になるのか、長期的に米国市場を脅かすものとなるのかについては意見が分かれるだろう。今後の焦点は、MAG7と呼ばれる米国の主要ハイテク企業が、その地位を維持できるかどうかになると思われる。
トランプ政権が再び経済政策で主導権を握る中、関税戦略や通貨政策が企業活動にどのような影響を与えるかも引き続き注目される。
AI関連企業の成長がグローバル市場の均衡を崩す中で、政策とテクノロジーの交差点がより明確になってきたとも言えるだろう。