中国バイドゥ、UAEでロボタクシー事業を始動 ドバイとアブダビでの大規模展開へ

2025年3月28日、中国の百度(バイドゥ)傘下であるApollo Go(アポロゴー)が、アラブ首長国連邦(UAE)にてロボタクシー事業を開始すると発表した。
中国国外初の展開となる今回の事業は、ドバイとアブダビの2都市で大規模な運用を目指しており、自動運転技術の国際展開における重要な一手と位置付けられる。
中国外初進出、ロボタクシーの商業化に向けた先駆的取り組み
中国テクノロジー大手のバイドゥが展開する自動運転配車(※)サービス「Apollo Go」が、中国国外に進出した。
UAEをその第一歩として選定し、アブダビとドバイの2都市でロボタクシーサービスの試験運用および本格展開を視野に入れている。
さらにバイドゥは29日、アブダビで、自動運転ソリューション企業「Autogo」との戦略的提携を発表した。
数十台規模の自動運転車を特定地域にて展開しつつ、アブダビの総合交通センター(ITC)と連携して規制やインフラとの整合性を確認するようだ。
これにより、2026年までにアブダビ全域での商業運用を目指すとしている。
一方、ドバイでは、現地の道路交通局(RTA)と協力体制を築き、無人運転に対応した第6世代「RT6ロボタクシー」100台を2025年末までに配備する計画が進行中だ。
RTAは2030年までにドバイの交通機関の25%を自動運転化する目標を掲げており、今回の取り組みはその中核を担うことになる。
こうした動きは、Apollo Goの技術的な成熟と実績から裏打ちされたものだ。
中国国内では10都市以上で無人走行車の運用をすでに行っており、総走行距離は1億5000万kmを突破、乗車回数も1000万回を超えている。
加えて、使用される車両はすべて電気自動車(EV)であるため、都市部の排出ガス削減や交通渋滞の緩和にも貢献しているともみられる。
※自動運転車(ロボタクシー):AIやセンサーを搭載し、運転手なしで目的地まで移動できる車両。交通状況をリアルタイムで把握・判断することで、人間の操作を必要としない運行を実現する技術である。
UAE市場への影響とグローバル展開の可能性について
今回のUAE進出は、バイドゥにとって単なる国外展開に留まらず、グローバルにおける自動運転分野の覇権争いに名乗りを上げた形となるだろう。
中東地域におけるスマートシティ戦略の一環として、持続可能な移動手段の導入が急務となっている中で、EVによるロボタクシーはその要件を満たす存在になり得る。
環境配慮と利便性の両立が求められる中での市場参入は、バイドゥの企業価値を高めるとともに、パートナー企業との信頼関係強化にもつながるだろう。
一方で、課題も存在する。
現地の法規制や道路インフラへの適応、利用者の安全意識への啓発など、乗り越えるべきハードルは少なくない。
ただし、これらを克服できれば、他国展開へのテンプレートを構築できる可能性もある。
総じて、ロボタクシーのグローバル展開においては、いかに各地域の事情に適合した運用体制を築けるかが成否の分かれ目となるだろう。
Apollo GoがUAE市場で成功を収めれば、今後の東南アジアや欧州市場への波及も現実味を帯びてくるのではないだろうか。