米上院議員が仮想通貨投資の自由化を推進 退職金運用を可能にする「金融自由法案」を提出

2025年4月1日、米国上院のトミー・タバービル議員(共和党・アラバマ州)が、米国で一般的な退職金プランにおける仮想通貨投資を可能にする「金融自由法案(Financial Freedoms Act)」を再提出する意向であることが報じられた。
政府の規制に対抗し、個人の金融選択の自由を確保することを目的とした法案で、仮想通貨市場や投資家に波紋を広げている。
仮想通貨投資を退職金で可能にする法案
金融自由法案は、バイデン政権下で2022年に導入された401(k)退職金プランへの仮想通貨投資制限に対する反発から生まれたものだ。
401(k)はアメリカで最も一般的な退職金プランだが、バイデン政権はこのプランから仮想通貨に投資することを制限していた。
タバービル議員は、退職金の運用先を自由に選べるブローカレッジ・ウィンドウ(※)という仕組みの維持を訴えており、政府による介入はアメリカ国民の金融的自立を脅かすものだと主張している。
金融自由法案では、労働省が401(k)口座保有者に対して投資先を制限するような規制や指針を出すことを明確に禁じている。
タバービル議員は「政府が人々の退職後の資産形成に口を出すべきではない」との立場を示し、選択の自由こそが健全な市場を育てると語った。
また、この動きはトランプ大統領の仮想通貨支持の姿勢とも軌を一にしており、共和党内の保守的かつ自由経済志向の政策基盤を反映している。
タバービル議員は2022年にも同様の法案を提出しており、今回はその再提案となる。
※ブローカレッジ・ウィンドウ:401(k)制度において、加入者が用意された商品ラインアップ以外にも証券会社を通じて自由に金融商品へ投資できる仕組みのこと。
仮想通貨市場への影響
金融自由法案が可決されれば、アメリカ国内の約9,100万人にのぼる401(k)プラン利用者に仮想通貨という新たな投資オプションが開かれる。
すでに2022年には、大手運用会社フィデリティが退職金口座を通じたビットコイン投資サービスを開始しており、需要の高まりはすでに顕在化している。
仮想通貨市場にとっては、本法案は規制緩和による市場の活性化につながるものといえる。
機関投資家や一般投資家からの資金流入が期待されるため、価格の安定性や市場規模の拡大が見込めるだろう。
一方で、仮想通貨は依然として価格変動が激しく、制度金融のなかに組み込むにはリスクが大きすぎるという懸念も根強い。
とくに401(k)は老後の生活資金として設計された制度であり、短期的な価格変動に晒される資産を含めることは、制度本来の安定性を損なう恐れがある。
国際的には、仮想通貨を退職金制度に組み込む動きはごく一部に限られており、米国が制度的な先行事例を作れば、他国にも連鎖的な影響を及ぼす可能性がある。
特に、英米を中心とした自由市場重視の国々では、政策的追従が起こる可能性も視野に入るだろう。
法案の行方は国際的な暗号資産運用に影響を及ぼす可能性があり、成否が注目される。