Google、日本のサイバーセキュリティ強化に向け「Japan Cybersecurity Initiative」を設立

2025年3月12日、Googleは日本企業のサイバーセキュリティ意識向上と専門人材育成を目的とした「Japan Cybersecurity Initiative」を設立した。この取り組みは、サイバーセキュリティを専門部門の課題にとどめず、社会全体の問題として捉え、産学官の連携を強化することを目指している。
サイバーセキュリティの課題とGoogleの取り組み詳細
日本では近年、サイバー攻撃が急増している。
フィッシング詐欺やランサムウェアによる被害が拡大し、企業や自治体への攻撃も後を絶たない。2022年のデータによると、日本のサイバー攻撃関連の通信数は2015年比で8.3倍に増加している。さらに、約17万人のサイバーセキュリティ専門家が不足しており、企業が自社内で十分な対策を講じることが難しい状況にある。
こうした背景のもと、Googleは「Japan Cybersecurity Initiative」を設立し、日本のサイバーセキュリティ強化に貢献する方針を示した。企業や政府機関だけでなく、社会全体への啓発を通じて、誰もがセキュリティ意識を持つことを目的としている。
また、専門人材の育成にも重点を置き、実践的な知識とスキルを持つ人材の確保を支援する計画だ。
このイニシアティブでは、社会全体への啓発活動、中小企業の支援、重要産業や大企業向けの情報提供の3つを柱としている。まず、新たに有識者会議を設立し、国民のサイバーセキュリティ意識を向上させるためのアクションプランを策定する。
次に、中小企業向けの支援として、経済産業省と連携し、全国の企業に無料のトレーニングプログラムを提供する。Googleは一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)とも協力し、最大2,500社の中小企業や非営利団体に対し、実践的なセキュリティトレーニングを実施する計画だ。
これにより、リソースの限られた中小企業でも、基本的なセキュリティ対策を講じることが可能になる。
さらに、大企業や重要インフラを担う組織に対しては、最新の脅威情報の提供や専門人材の育成支援を行う。
期待される成果
「Japan Cybersecurity Initiative」によって、日本のサイバーセキュリティ意識が向上し、社会全体の防御力が強化されることが期待される。特に、中小企業のセキュリティ対策が進むことで、サプライチェーン全体のリスクが低減する可能性がある。
Googleは日本国内にサイバーセキュリティ研究拠点を設立し、政府や企業と連携しながら防御策の開発を進めている。この拠点では、攻撃手法の分析や新たな脅威への対応策の研究が進められており、日本全体のセキュリティ体制の向上に貢献すると期待される。
今後もGoogleはこの取り組みを継続し、日本およびアジア太平洋地域のサイバーセキュリティ強化に投資する方針を示している。
政府や関係機関との連携をさらに深め、包括的なセキュリティ対策の構築を進める見通しだ。