ナイアンティック、『ポケモンGO』『モンハンNOW』などのゲーム事業をスコープリーへ35億ドルで売却

2025年3月12日、ナイアンティックは『ポケモンGO』や『モンスターハンターNow』などのゲーム事業を、アメリカのモバイルゲーム会社スコープリーに売却すると発表した。売却額は35億ドル(約5200億円)に達し、ゲームの運営はスコープリーに引き継がれる。
ナイアンティックのゲーム事業売却とその背景
ナイアンティックは、位置情報を活用したAR(拡張現実)ゲームの開発で知られる企業であり、『ポケモンGO』を筆頭に、『モンスターハンターNow』や『ピクミンブルーム』などの人気タイトルを運営してきた。
しかし、市場の変化や競争激化の影響を受け、ゲーム事業の戦略見直しを進めていたと考えられる。
売却の背景には、ARゲーム市場の成長鈍化や、ナイアンティックの収益構造の変化があると考えられる。
『ポケモンGO』の成功以降、同社は複数の新作を投入したが、『ハリー・ポッター:魔法同盟』などのタイトルは十分な成果を上げられなかったため、サービスを終了した。こうした中で、より収益性の高い事業へ移行する動きが加速したとみられる。
スコープリーは、モバイルゲーム業界で急成長を遂げた企業の一つであり、『モノポリーGO』や『マーベル・ストライクフォース』などの人気タイトルを展開。
2023年には、サウジアラビアのSavvy Games Groupによって49億ドルで買収され、大規模な資本を背景に成長を続けている。
ナイアンティックのゲーム事業を取得することで、位置情報ゲーム市場にも本格参入する狙いがあるとみられる。
ナイアンティックは、ゲーム事業売却後、新たに「Niantic Spatial Inc.」という新会社を設立。ゲーム中心の事業モデルから、空間コンピューティングやAIを活用した新たなビジネス領域へ移行することになる。
新会社の基盤となるのは「Niantic Spatial Platform」という新たなプラットフォームである。XR(クロスリアリティ)、地理情報システム(GIS)、AIなどを統合したソリューションを提供する予定だ。
ゲームへの影響を心配するユーザー
一方で、プレイヤーへの影響も懸念されている。スコープリーは、買収したゲームの運営継続を表明しているが、運営方針やイベントの方向性が変わる可能性もある。
特に、『ポケモンGO』は定期的なアップデートやイベントが重要な要素であり、新たな運営体制の下でどのような変更が行われるかが注目される。
ゲーム業界の専門家やファンの間では、この売却に対して賛否が分かれる可能性がある。ナイアンティックのARゲームの未来に期待する声がある一方で、スコープリーの運営方針に対する不安も指摘されるだろう。
ゲームコミュニティの維持や新規コンテンツの方針がどのように変化するのかが、今後の焦点となるだろう。