トヨタ傘下、スマホ免許証を見据え九州大学で実証実験開始 レンタカーの鍵なし乗車も視野に

トヨタ自動車の子会社であるトヨタ・コニック・アルファは、2025年3月14日より九州大学伊都キャンパスにて、モバイル運転免許証(mDL)を活用した実証実験を開始する。
この取り組みは、スマートフォンに格納された運転免許証とデジタルキーを連携させ、レンタカーの無鍵乗車など新たなモビリティ体験の創出を目指すものである。
モバイル運転免許証とデジタルキーの連携による新たなモビリティ体験
モバイル運転免許証(mDL)は、スマートフォンに格納される運転免許証であり、国際標準規格(ISO/IEC 18013-5/7)に準拠している。アメリカの一部州やオーストラリア、韓国などで既に運用が開始されているが、日本での実用化は未定である。
一方、2025年3月24日からは「マイナ免許証」の運用が予定されており、デジタルIDの活用が進む中で、mDLの実用化に向けた動きが注目されている。
今回の実証実験では、スマートフォンにmDLとデジタルキーを格納し、無線通信技術を用いて運転資格やデジタルキーの所有を確認する。
具体的には、高精度な位置特定が可能なUWB(Ultra Wide Band)と、運転資格の確認や自動車の施錠・解錠に使用されるBLE(Bluetooth Low Energy)が活用される。
これらの技術により、スマートフォンだけで車両の施錠・解錠やエンジン始動が可能となり、レンタカーの無鍵乗車など新たなモビリティ体験が提供されることが期待される。
今後の展望
デジタルIDの活用が進む中で、mDLとデジタルキーの連携による新たなモビリティサービスの実現は、ユーザーの利便性向上や安全性の確保に寄与すると考えられる。
また、レンタカー業界においても、無鍵乗車の実現により、貸出・返却手続きの効率化やコスト削減が期待される。
今後、mDLとデジタルキーの連携が進むことで、モビリティ分野におけるデジタルトランスフォーメーションが加速すると予想される。
たとえば、スマートシティ構想やカーシェアリングサービスとの連携により、より柔軟で効率的な交通手段の提供が可能となるだろう。また、ブロックチェーン技術を活用した安全運転証明の導入など、新たなサービスが展開される可能性もある。
しかし、これらの技術を社会に浸透させるためには、セキュリティ対策やプライバシー保護の強化が不可欠である。
さらに、法整備や標準化の推進、ユーザーの理解促進など、多方面での取り組みが求められる。
これらの課題を克服することで、mDLとデジタルキーの連携による新たなモビリティ体験が社会全体に広がり、利便性と安全性の向上が実現されると考えられる。