サービスナウ、AI企業ムーブワークスを買収か

2025年3月10日、米国の業務ソフト大手サービスナウが、人工知能(AI)企業ムーブワークスの買収に向けて合意間近であると報道された。
関係者によれば、ムーブワークスの評価額は約30億ドル(約4420億円)とされ、正式発表は数日内に行われる可能性があるという。
買収の背景と詳細
サービスナウは、企業向けの業務ソフトウェア市場で確固たる地位を築いている。
近年、AI技術の導入が企業の競争力強化に不可欠とされる中、同社もAI分野への投資を積極的に行ってきた。
ムーブワークスは2016年設立の企業で、従業員の要望に応えるAIアシスタント(※)を提供しており、ユニリーバやギットハブ、ブロードコムなどの大手企業がそのサービスを利用している。
また、クライナー・パーキンスやライトスピード・ベンチャー・パートナーズ、ベインキャピタル・ベンチャーズなどの著名な投資家から支援を受けており、2021年の資金調達ラウンドでは21億ドルの評価を受けていた。
今回の買収により、サービスナウは自社のAI技術を強化し、より高度なソリューションを提供することを目指していると考えられる。
※ AIアシスタント:人工知能を活用し、ユーザーの指示や要望に応じて情報提供やタスクの実行を行うソフトウェア
今後の展望
今回の買収が正式に発表されれば、サービスナウのAI領域における競争力はさらに強化されるだろう。既存の業務自動化ツールにAIアシスタントを統合することで、よりインテリジェントなソリューションが提供されると期待できる。
一方で、他の大手企業も同様の戦略を取ると予想される。
AI分野ではマイクロソフトやグーグルなどの巨大企業も積極的に投資を行っているため、競争環境は一層厳しくなるだろう。
また、AI技術の発展に伴い、規制の強化も進む可能性がある。
特に、データのプライバシーや倫理的な問題が議論される中で、新たな規制が導入されれば、サービスナウの戦略にも影響を及ぼすかもしれない。
技術力の向上だけでなく、コンプライアンス面での対応も求められるだろう。
総じて、今回の買収はサービスナウの成長戦略としては理にかなっているが、統合の成功可否や市場環境の変化が今後の成否を分ける要因となりそうだ。