AIと俳句愛好家の対決、愛媛で人類チームが勝利 AIの実力に驚きの声

2025年3月8日、愛媛県松山市でAIと俳句愛好家による対決が行われ、人類チームが勝利を収めた。この対決では、北海道大学大学院が開発した俳句生成AI「一茶くん」が挑戦者として参加。観客約60人が見守る中、即興で俳句を詠み合う形式で勝敗が決した。AIの実力に驚きの声が上がる一方、俳句文化とAI技術の未来に期待が寄せられている。
人類チームがAIに勝利、俳句の芸術性を示す
この対決は、松山市堀之内の県美術館講堂で開催された。俳句生成AI「一茶くん」は、40万句以上の名句を学習し、即興で俳句を生み出す能力を持つ。イベントでは、俳句愛好家とAIが交互に相手の句の一部を使いながら詠み合い、発想力や芸術性を競った。
審査員4人による評価の結果、人類チームが1点差で勝利した。AIの選句を担当した山下塔矢さん(23)は、「僕の句にしたいくらいの出来栄えで末恐ろしい」とコメント。AIが生み出す俳句の完成度の高さが、観客や参加者の間で驚きを呼んだ。
AI一茶くんの技術と対決の意義
一茶くんは、北海道大学大学院の調和系工学(※)研究室によって2017年から開発が進められている。ひらがなのデータをもとに学習し、俳句の基本である5・7・5の音数を正確に形成することが可能。近年のアルゴリズムの改良により、より自然な俳句表現を生み出せるようになっている。現在は1分間に400句を生成する能力を持つ。
このような対決は、AIの創作能力を検証するとともに、人間とAIの共生の可能性を探る試みでもあると言える。
愛媛県は俳句文化が盛んな地域であり、地元の俳人たちがAI研究に協力している背景もある。
今後、AIと人間がどのように協力し、文化や芸術に貢献できるのかが注目される。
※調和系工学:人工知能が人間の感性や創造性と調和するように設計・開発される分野のこと。AIが人間の文化や芸術と共存するための研究が行われている。