位置情報と連動してパスワードを管理する新システム登場 米1Password最新機能がセキュリティを変える

米国時間2025年3月6日、米国のパスワード管理サービス「1Password」が、ユーザーの現在地に基づいて必要なパスワードを自動表示する位置情報連動機能(※)を発表した。
位置情報とセキュリティキーが合わさった画期的な機能であり、オフィスや病院、ホテルなど場所に紐づくパスワード管理が劇的に効率化される見通しだ。
自動で表示される「いま・ここ」に必要なパスワード
新機能「Nearby」は、保存したログイン情報やパスワードに位置情報を紐づけることで、ユーザーが特定の場所に到着した際に関連アイテムを自動表示する仕組みだ。
たとえば、オフィスビルに近づくとセキュリティゲートのアクセスコードが、病院に到着すると電子カルテのログイン情報が、ホテルに着くと部屋の金庫のコンビネーションが、それぞれ事前設定なしで自動的に画面上に表示される。
設定方法も極めて単純で、既存のパスワード項目を開き「Add a location(場所を追加)」を選択するだけでよい。実際の現地にいなくとも、地図上で任意の場所を指定して設定できる点も特徴的である。
表示範囲は50フィート(約15メートル)から最大10マイル(約16キロメートル)まで調整可能で、ユーザーごとの行動半径に合わせたカスタマイズが可能となっている。パスワード管理の煩雑さを場所情報の利用によって軽減することができ、特に複数の施設や場所を行き来する頻度の高いビジネスパーソンやヘルスケア関係者から高い評価を得ることになるだろう。
セキュリティとプライバシーを両立した設計思想
位置情報の活用に関して最大の懸念となるプライバシー保護について、1Password側は明確に重視する姿勢を明らかにしている。公式発表によれば、この機能で使用される位置情報はすべてユーザーのデバイス内で処理され、外部サーバーに送信されることは一切ないとのことだ。
つまり、ユーザーがどこにいるかという情報が1Passwordを含む第三者に知られる心配がないのである。
位置情報とパスワードの紐づけ作業もデバイス内で完結し、クラウド上には保存されない仕組みとなっている。また、この機能はいつでも無効化できるため、特定の状況下では完全にオフにしておくことも可能である。
さらに、この機能は単なる利便性向上だけでなく、状況依存型のセキュリティ強化にも貢献する可能性を秘めている。たとえば、特定の場所でのみ特定のパスワードが表示されるため、デバイスが盗難に遭った場合でも、重要な認証情報へのアクセスリスクを低減できるのだ。
一方で、設定が簡便なことにより、設定ミスによるセキュリティリスクが発生する可能性には注意を払うべきだろう。外部サーバーからの流出は防止されているとはいえ、ユーザーが誤った場所を登録した場合、第三者にパスワードが漏れるリスクが生じてしまう。
※位置情報連動機能
スマートフォンやタブレットなどのGPS機能を利用して、ユーザーの現在地を特定し、その場所に関連したサービスや情報を自動的に提供する技術