ChatGPTがコードを直接編集可能に OpenAIがmacOS版アプリで開発者向け機能を強化

OpenAIは2025年3月6日、ChatGPTのmacOSアプリケーションにおいて、主要な統合開発環境と連携してコードを直接編集できる機能を追加した。まずChatGPT PlusやProユーザー向けに提供され、開発プロセスの効率化を図るものと位置付けられている。
コードの直接編集が可能に 開発者の作業効率向上へ
新機能によりChatGPTはXcode、VS Codeなどの主要な統合開発環境(IDEs)と連携し、コードを直接編集することが可能となった。例えば、バグが発生しているコードをChatGPTに解析させると、AIが問題箇所を特定し、修正コードをエディタ上に直接書き込むことができる。
これによって、コードをコピーしてChatGPTに貼り付け、修正案を再びコピーしてエディタに戻すという煩雑な作業が不要になり、単一のインターフェース上でコードの診断から修正までが完結する。直感的な操作性により、開発者の作業効率が向上することに期待がかかる。
特に「オート適用モード」と呼ばれる機能の利便性は高い。これはChatGPTが提案したコード修正を、エディタ上で自動的に適用することができる機能だ。開発プロセスがさらにスムーズになるだろう。ただし、誤った修正が適用されるリスクも存在するため、慎重な運用が求められる点は留意すべきである。
この新機能はChatGPT Plus、Pro、Teamプランのユーザーに対して3月6日から提供開始された。無料ユーザーを含むEnterprise、Eduプランへは翌週以降に順次展開される予定だ。OpenAIはこれまでもAIによるコード生成・補完機能を提供してきたが、今回のアップデートではさらに踏み込んで開発環境との直接的な連携を実現している。
※統合開発環境(IDEs):
ソフトウェア開発に必要なコードエディタ、デバッガ、コンパイラなどの機能を一つのアプリケーションに統合した開発ツール。プログラミングの効率を高める。
AIコーディングツール市場で激化する競争
近年、AIによるコーディング支援ツールの競争が激しさを増している。例えば、コード補完や提案に特化した、軽量で迅速な動作が特徴の「Cursor」や、Microsoftが提供するGitHubとの統合が強みのAIコーディングアシスタント「GitHub Copilot」などが人気だ。OpenAIの今回の発表は、そうしたコーディング支援ツールに対抗するものと言える。
AIコーディングアシスタントは急速に普及しているものの、課題も少なくない。GitHubの調査結果によれば、AI生成コードのデバッグには人間が書いたコードよりも多くの時間を費やすケースが多いことが明らかになっている。
OpenAIが今後、便利さとリスク管理のバランスを取ることができるかに注目が集まる。直接コード編集機能の導入は、AIコーディングツール市場におけるOpenAIの競争力強化と同時に、開発者の作業プロセスに大きな変革をもたらす可能性を秘めていると言える。