日立、生成AIで「AI顧客」を創り出す キャッチコピー生成にも活用

2025年3月4日から7日まで東京ビッグサイトにて開催の「リテールテックJAPAN 2025」において、日立製作所は生成AIを活用した新技術を発表した。
主な発表内容は、購買行動の背景を理解するための「AI顧客生成」と、効果的な広告キャッチコピーを自動生成する「キャッチコピー生成システム」の2つだ。
これらの技術は、リテール業界における顧客理解とマーケティング効果の向上に寄与することが期待されている。
AI顧客生成とキャッチコピー生成システムの詳細
日立製作所は、リテール分野向けに生成AIを活用した技術として、「AI顧客生成」と「キャッチコピー生成システム」を開発中である。
「AI顧客生成」は、POSデータや購買行動データを基に、個性を持ったAI顧客を作成する技術だ。生成AIに顧客情報と商品情報を入力することで、購買の背景にある個性を取り込んだAI顧客を生成する。
これにより、実際の来店客にアンケートを行わずに、購買理由を深掘りすることが可能となる。店舗側は、限られた手段でしか確認できなかった購買理由を、AI顧客との対話を通じて得ることができる。
さらに、仕入れ担当者は、AI顧客の選定理由を確認することで、商品の優先度をランク付けすることが可能となる。
この技術は、2024年度から2店舗で実証実験を行っており、2025年夏頃にはAI顧客の活用方法を検討する予定である。
一方、「キャッチコピー生成システム」は、購買履歴やアンケート結果を基にクラスタリングを行い、ターゲットの内的特徴を数値化する。その特徴に基づいて、広告効果が高い商品を選定し、数値化された特徴と商品情報を生成AIに入力してキャッチコピーを生成する。
この技術は、野村総合研究所の「マーケティング分析コンテスト2023」で優秀賞を受賞しており、その効果が評価されている。
生成AIを活用した日立の今後の展望
日立は、リテール向けソリューションの紹介映像を生成AIを用いて制作し、顧客提案においても生成AIを積極的に取り入れている。リテール分野での顧客理解やマーケティング効果の向上を目指す。
また、サミット株式会社との協業により、需要予測型自動発注システムを全店舗に導入し、サプライチェーン全体の最適化を検討予定だ。
このシステムは、AIによる需要予測に基づく自動発注を可能とし、在庫の過不足低減や食品ロス削減、配送の効率化に寄与することが期待されている。
日立は、これらの取り組みを通じて、リテール業界の課題解決と持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。