AIが安全運転支援、韓国の路線バス事故率50％減少

韓国では、AI技術を活用した安全運転支援システムの導入が進められている。これにより、路線バスの事故率が50％以上減少したと2025年3月6日に報告された。 

AI技術導入の背景とシステムの仕組み

韓国の交通事故率は依然として高い水準にあり、特にバスやトラックなどの大型車両による事故が問題視されている。
信号無視や居眠り運転は、これらの事故の主要な原因とされている。 この状況を受け、韓国交通安全公団（TS※）は、AI技術を活用した安全運転支援システムの導入を推進した。 

このシステムは、カメラやセンサーを用いて運転手の行動をリアルタイムで監視し、危険な運転を検知した際に警告音を発する仕組みである。

 具体的には、運転手の表情や視線、運転挙動をAIが分析し、信号無視や居眠り運転、違法なUターンなどの危険行為を検出する。 検出された場合、即座に「ピピッ」という警告音で運転手に注意を促す。 

導入後の効果と今後の展望

2024年7月から11月にかけて、TSは市内バスや長距離バスなど500台にAIカメラを設置し、試験運用を実施した。 その結果、交通事故件数は298件から211件へと29.2％減少し、重傷者は49.3％、軽傷者は38.7％減少した。
さらに、信号無視は87.6％、居眠り運転は99.7％、違法Uターンは93.8％と、危険運転の発生率も大幅に低下し、全体の事故率は前年同期比55.5％減少した。 

運転手や乗客からも、このシステムに対して高い評価が寄せられている。運転手は自身の運転行動を客観的に見直す機会を得られ、乗客は安全性の向上を実感している。

今後貸切バスや輸送業界全体への導入が進むことで、さらなる事故率の低下が期待される。特に、国土交通省や地方自治体との連携が強化されることで、全国的な交通安全対策が一層進展する可能性がある。

AI技術の進化に伴い、より高度な運転支援機能が追加されることも考えられるため、運転手の負担軽減や安全性向上につながるだろう。

また、他国でも同様のシステムが導入されることで、国際的な交通安全基準の向上にもつながると考えられる。

AI技術が交通事故防止の新たなスタンダードとなることで、世界中の交通安全が一層強化されることが期待される。

※韓国交通安全公団（TS）
韓国の交通安全を推進する政府機関で、交通事故の防止や安全教育、関連政策の立案・実施を行っている。