長崎大学、生成AIを活用した模擬患者システムを開発 医学生の問診練習を革新

長崎大学とシステック井上は、生成AIを活用した模擬患者アバターを共同開発し、2025年3月4日に報道陣に公開した。 このシステムは、医学生が画面上の患者キャラクターと対話しながら問診の練習を行うもので、模擬患者不足の解消と医療教育の質向上が期待されている。
生成AIを活用した模擬患者システムの特徴と開発背景
長崎大学と情報システム開発会社のシステック井上は、2024年3月より生成AI(※)を活用した模擬患者アバターの共同研究を開始した。 このシステムは、医学生が画面上の患者キャラクターとリアルタイムで対話し、問診の練習を行うことが可能である。
従来、医学生の問診練習には模擬患者が必要とされていたが、その養成や確保が難しくなっている現状があった。 この課題を解決するため、生成AIを用いたアバターの研究が進められている。 アバターは性別や年齢、性格など様々な特徴の患者を再現でき、現在は肺炎や十二指腸潰瘍など3つの病気に対応している。
さらに、問診練習の終了後には良かった点、課題などの評価を受けることができ、実用化されれば医学生の学習環境の飛躍的な向上が期待される。
今後の展望と医療教育への影響
現在、「生成AIを活用した模擬患者システム」の試用版が公開されている。
今後1年間にわたって実際に医学生や教官が使用して改善点などをフィードバックし、2026年3月に製品化したい考えであるようだ。
このシステムの導入により、医学生は多様な患者シナリオを経験し、コミュニケーション能力と病歴聴取の技術を向上させることが期待される。 特に、模擬患者の確保が難しい地方の医療機関でも、質の高い教育を提供する手段として注目されている。
今後は、AIが医学生の問診を評価する機能や、さらなる症例の追加が計画中であるようだ。
学習の質を向上させ、医学生の育成を強化することが期待されている。